あなたになら言える秘密のこと

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死ぬまでにしたい10のこと」のイザベル・コイシェ監督が再びサラ・ポーリーを主演に迎えて描く一人の女性の痛みと再生の物語。海洋に浮かぶ油田掘削所を舞台に、心に深い傷を負い夢や希望も持たず静かに生きる孤独な女性が、事故で一時的に視力を失った男性の介護を通じて少しずつ固く閉ざした心を開いていく姿を美しく静謐な映像で綴ってゆく。共演は「ミスティック・リバー」のティム・ロビンス。

過去の苦難の記憶を胸に秘め、誰とも言葉を交わすことなくひたすら孤独な毎日を送る若い女性、ハンナ。工場でも黙々と仕事をこなす彼女だったが、ある日、働き過ぎが問題となり、無理やり1ヵ月の休暇を取らされてしまう。宛てもなく長距離バスに乗り込んだ彼女は、ひょんなことから海の真ん中に浮かぶ油田掘削所でジョゼフという男性の看護をして過ごすことに。彼は事故でひどい火傷を負い、一時的に視力を失っていた。それでもユーモアを失わないジョゼフは彼女に名前や出身地を質問するが、ハンナは決して答えようとしない。この油田掘削所で働いている男たちは、それぞれに事情を抱えた者たちばかり。閉ざされた空間でそんな風変わりな男たちと生活を共にするうち、ハンナも少しずつ人間らしい感情を取り戻していくが…。(allcinema)


タイトルにある“秘密”が何かを考えるようには作られていなくて、
耳が不自由な女性と、事故で火傷を負った男性との交流が
静かに描かれていきます。

何かある…。

確かにそう思えるシーンは、あちこちに垣間見られすのですが、
それはハンナだけではなく、ジョゼフにもあるように思えて、
本当に“秘密”が語られたとき、それは衝撃でした。


人と係わらずに生きていくハンナ。
白米とチキンとリンゴしか食べないハンナ。
異様なほどの綺麗好きで、たくさんの石鹸を持ち歩くハンナ。

その一つずつが、“秘密”に繋がっていきます。


けれど、“秘密”を理解し分かち合ってくれる人を探してた…。

ジョゼフと出会って、ジョゼフの言葉に心が溶かされていくように
“秘密”を話してしまったとき、
そんな気がしました。


ジョゼフも、やはり“秘密”を抱えていました。

けれど、ジョゼフもハンナによって“秘密”から解放されていく…。


ふたりは出会うべくして出会った。
そう思わせる再会と未来です。


“秘密”には、とても重い戦争が絡んでいます。

自分に関係のないことは、忘れてしまうけれど、
忘れられずに一生背負ったまま生きていく人もいる。
そんな切ない女性の物語です。

世界中から争いがなくなりまうように…。
そう願わずにはいられません。


“秘密”を知りたい方、
サラ・ポーリーの静かな演技を観たい方、いかがでしょう。