エレジー

イメージ 1ピュリッツァー賞作家フィリップ・ロスの『ダイング・アニマル』を「死ぬまでにしたい10のこと」「あなたになら言える秘密のこと」のイザベル・コイシェ監督が映画化した大人の愛の物語。若い頃から自由で気ままな恋愛を信条としてきた初老の大学教授が、30も年下の教え子相手に思いがけず愛に溺れて葛藤するさまと、そんなふたりの切ないすれ違いの愛の行方を実力派俳優陣による官能的かつ繊細な演技で描き出してゆく。主演は「ボルベール <帰郷>」のペネロペ・クルスと「砂と霧の家」のベン・キングズレー
 老境を迎えつつあるデヴィッド・ケペシュは名の売れた大学教授。これまでの人生で、恋愛においては心の結びつきよりも刹那的な快楽を謳歌してきた男。ある時、そんな彼は30歳も年の離れた学生コンスエラ・カスティーリョの美貌に目を奪われる。デヴィッドとは対照的な恋愛観を持つコンスエラだったが、やがてふたりは恋に落ちる。そして、完璧な乳房を持つコンスエラの肉体の虜となってしまうデヴィッド。親友である詩人のジョージは深入りするなと忠告するが、いつしかデヴィッドは人生で味わったことのない嫉妬の感情に振り回されていく。(allcinema)

からだから、こころから、あなたを消せない。
もう一度、愛したい。

2008年 アメリカ製作作品
原題:ELEGY

監督: イザベル・コイシェ
原作: フィリップ・ロス 『ダイング・アニマル』(集英社刊)
脚本: ニコラス・メイヤー
出演: ペネロペ・クルス コンスエラ・カスティーリョ
    ベン・キングズレー デヴィッド・ケペシュ
    パトリシア・クラークソン キャロライン
    デニス・ホッパー ジョージ・オハーン
    ピーター・サースガード ドクター・ケニー・ケペシュ




公開時、近くでなかったんですよね~。
単館上映だったようで、観たかったけど我慢した作品です。


全編にわたって、アメリカが舞台とは思えませんでした。
明るさがないんですよね~。


60歳くらいと思える初老の大学教授。
女には不自由しなかったような人生。
現に、今もセックスフレンドはいるのだから、
満たされてないはずはない?

ところがそうとばかりとは言えないのも人生。

美しく知的な女子学生に、恋をしてしまったのです。

…というか、最初は単なる興味だけだったかもしれないけど、
どんどん惹かれて行き、恋に堕ちて行くのです。

恋愛にも女性にも慣れていたはずなのに、
男はまるで初めて恋をしたかのように、戸惑い、嫉妬し、
歳の差を感じるあまりに、彼女の愛情に応えられなかった。

恋とは愚かなものなのです。
でも、相手を受け止める覚悟というのは素晴らしいことなのです。


ふたりの恋愛は、とても上品に描かれています。

老いて行くこと、
病を抱えて生きて行くこと。
互いを受け止めようとしたラストです。



コンスエラが、2年後再び現れたときの、
ショートカットと、その髪型についての台詞。
それで病気が分かったのですが、
これは女性として辛い病気です。

もし同じ立場だったら、
やはり一番大切な人に見てほしい、と思うでしょうね。


憔悴しきったコンスエラを、静かに受け入れた教授の姿が美しい。
ふたりは支え合って生きて行くのでしょう。


何が幸せかは、本人にしか分からないんですよね。
老いていたからこそ、
病気をしたからこそ、ふたりは結びついたのですから…。

幸せってなんだろうと、思う作品でした。