路上のソリスト

イメージ 1LAタイムズの記者スティーヴ・ロペスが、偶然出会ったホームレスの天才音楽家ナサニエル・エアーズとの交流を現在進行形で綴り全米で話題となった連載コラムを映画化した感動ドラマ。当初はナサニエルの数奇な人生を記事にするだけのつもりだったロペス記者が、次第にナサニエルと友情を築き、ジャーナリストのモラルとの葛藤を抱えながらも、彼の人生に自ら深く関わっていくさまを、2人の心の軌跡を軸に、社会的問題にも触れつつ美しい音楽とともに描き出す。主演は「Ray/レイ」のジェイミー・フォックスと「アイアンマン」のロバート・ダウニー・Jr。監督は「プライドと偏見」「つぐない」のジョー・ライト
 人生に行き詰まっていたLAタイムズのコラムニスト、スティーヴ・ロペス。ある日彼は、2弦しかないバイオリンで美しい音色を奏でるホームレスの男と出会う。ナサニエル・エアーズと名乗るその男が名門ジュリアード音楽院に通っていたと知り、俄然興味を抱く。久々に記者魂に火のついたロペスは、ナサニエルの人生の謎を追って取材を開始し、少しずつ彼の生い立ちを紐解いていく。路上の天才音楽家ナサニエルを紹介した彼のコラムは大きな反響を呼び、連載を続けることにしたロペスはさらなる取材を重ねる中で、次第にナサニエルをなんとかして救いたいと願うようになるのだが…。(allcinema)


奏で続ければ、いつかきっと誰かに届く。

2009年 アメリ
原題:THE SOLOIST


監督: ジョー・ライト
原作: スティーヴ・ロペス
脚本: スザンナ・グラント
音楽: ダリオ・マリアネッリ
出演: ジェイミー・フォックス ナサニエル・エアーズ
     ロバート・ダウニー・Jr スティーヴ・ロペス
     キャサリン・キーナー メアリー・ウェストン
    トム・ホランダー グラハム・クレイド
    リサゲイ・ハミルトン ジェニファー・エアーズ・ムーア
    スティーヴン・ルート レイチェル・ハリス  アンジェラ・フェザーストーン
    ジャスティン・マーティン





音楽映画って、いろんなものを期待して観てしまいます。

現在進行形の方々のお話なので、
ドラマティックなエピソードが用意されているわけではありません。

ある日、新聞記者が路上でヴァイオリンを演奏する黒人男性と出会う。
そこから彼は、その男性のことをコラムに取り上げるようになって行く。

ナサニエル演奏が良いのです。
弦が足りないから、同じメロディをただただ繰り返すだけ。
でもそのひたむきさに心を奪われてしまいました。

初めてチェロを弾くシーンも、演奏の仕方はさておいて、
その表情に涙が溢れてました。

これは演じているジェミー・フォックスの素晴らしさでしょう。

その後も、統合失調症という病を持ったナサニエルの、
微妙な表情の変化は、素晴らしかったです。


今回は、音楽映画ということと、
もうひとつのお目当ては、ロバート・ダウニー・Jr。
分野根性からナサニエルに興味を持ったのでしょうが、
どんどん彼に惹かれて行って、それに戸惑う姿を見事に演じてました。


決して派手な物語ではありません。

路上生活者とか、統合失調症とか、
アメリカが抱えている問題を取り上げていて、
本来なら暗く重いテーマなんでしょうが、
ナサニエルの人柄同様、穏やかに進んで行きます。


何が幸福せか…。

傍から見れば、ナサニエルは不幸かもしれない。
家も何もない生活。
でも、「持って歩けるものだけが自分の持ち物」と言った時には
ちょっとドキッとしました。

物があふれる世の中…。
いやいや、私自身。
物に囲まれてもそれが幸福なのか…。


音楽に生きがいを見出したナサニエル
コンサートを聴く姿はとても微笑ましかったです。

そして現在も、様々な楽器を演奏しているそうです。


彼だけの幸福が見えます。


静かに心に沁みる作品でした。