プレシャス

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 実際にニューヨークのハーレムでソーシャルワーカーや教師をした経験を持つ女性詩人のサファイアが、そこで出会った黒人の貧困家庭に暮らす子どもたちの実態を背景に書き上げた小説を、これがデビュー2作目のリー・ダニエルズ監督が映画化した衝撃のドラマ。1987年のハーレムを舞台に、読み書きがほとんど出来ない16歳の肥満少女、プレシャスが、両親による想像を絶する虐待に耐えながら生きる過酷な日常と、一人の女性教師との出会いがもたらす一条の希望を描き出す。主演は新人ながら本作での演技が高い評価を受けたガボレイ・シディベ。共演に、こちらもその演技が絶賛され助演女優賞を総ナメにしたモニーク。
 1987年のニューヨーク、ハーレム。16歳のプレシャスは、極度の肥満体型のうえ読み書きも出来ず孤独に堪え忍ぶ日々。“貴い”という名前とは裏腹の過酷な毎日だった。この年齢にして2度目の妊娠。どちらも彼女の父親によるレイプが原因。失業中の母親は、そんなプレシャスを容赦なく虐待し続ける。妊娠が理由で学校を停学になった彼女は、校長の勧めでフリースクールに通うことに。彼女はそこで若い女性教師レインと運命的な出会いを果たす。彼女の親身な指導のおかげで読み書きを覚え、次第に希望の光を見出し始めるプレシャスだった。(allcinema)
 
2009年
原題:PRECIOUS: BASED ON THE NOVEL PUSH BY SAPPHIRE

上映時間 109分
製作国 アメリ
 
プレシャス・ジョーンズ16歳。
2人目の子供を身ごもり、愛を受けずに育った少女。
ある教師との出会いが、彼女に奇跡を起こす──。
 
監督: リー・ダニエルズ 
製作: リー・ダニエルズ  セイラ・シーゲル=マグネス  ゲイリー・マグネス 
製作総指揮: オプラ・ウィンフリー  タイラー・ペリー  リサ・コルテス  トム・ヘラー 
原作: サファイア  『プッシュ』
脚本: ジェフリー・フレッチャー 
撮影: アンドリュー・ダン 
プロダクションデザイン: ロシェル・バーリナー 
衣装デザイン: マリナ・ドラジッチ 
編集: ジョー・クロッツ 
音楽: マリオ・グリゴロフ 
出演: ガボレイ・シディベ プレシャス            モニーク メアリー
        ポーラ・パットン ミズ・レイン             マライア・キャリー ミセス・ワイス
        シェリー・シェパード コーンロウズ       レニー・クラヴィッツ アース・ジョン
        チャイナ・レイン ロンダ 
 
録画したまま放置していた作品。
ようやく鑑賞しました。
なぜ放置したままだったかと言うと、ある程度の知識があったからなわけで、
心が元気じゃないと観られないと思いこんでいたんですよね~。
 
年齢不詳の黒人の女性が、まだ16歳だと分かった驚き。
そしてその16歳の少女・プレシャスが、ふたり目を妊娠していると分かった驚き。
その驚きの正体が分かると、プレシャスがどう生きていくのかを見届けたくなりました。
 
妊娠を理由に退学になったプレシャスが新しく通ったフリースクール
そこでの現実にはさすがに驚きます。
プレシャスと同年代の少女たちが、平気で異性や性のことを話すのに、
肝心の読み書きができない。
アメリカの抱えた大いなる病巣なんだろうと思ってしまう。
 
16歳の少女が一人で生きていけるわけがなく、
そこにどんな人が関わって来るのかがこの物語の面白さなわけで、
フリースクールのレイン先生、
看護師のジャクソン、
そしてケースワーカーのワイス、
この三人がしっかりと彼女を支え、フォローしてくれる。
支えられて、なお且つプレシャス自身が前向きだということが救いでした。
 
見所のキャスティング。
プレシャスを演じたガボレイ・シディベ
演技と言うより、役得といえるかもしれないけれど、
その巨体を生かして、文字通り体当たりの演技をしています。
そして母親役のモニーク
圧巻の演技でしたね。
ここまで徹底的に憎らしい母親を演じられるものかと見せつけてくれます。
アカデミー助演女優賞受賞は納得です。
 
プレシャスは子供を産んだことで、母性から自分をも愛そうとします。
虐待されたことで、自分の子供には愛情を注ごうとします。
その姿とは対照的に、どこまでも自分を肯定し続ける母親の姿に
救いは感じられませんでした。
 
プレシャスに関わった人たちが彼女を愛した理由が、
もう少し掘り下げていればよかったかもしれません。
虐待された少女が可哀そうだから…?
それだけではなかったはずですよね。
 
ドラマとして感動できるかどうかは別にして、
脇を固めるキャスト陣は観るべき価値ありでしょう(^^)