ミラノ、愛に生きる

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 「フィクサー」のティルダ・スウィントンが息子の友人との許されぬ情事に溺れていく上流階級マダムを熱演して高い評価を受けた愛憎ドラマ。監督は「メリッサ・P ~青い蕾~」のルカ・グァダニーノ。ミラノの大富豪一族に嫁いだロシア人妻のエンマ。何不自由ない生活を送りながらも満たされない心に、いつしか孤独を募らせていく。そんな時、エンマは息子の友人でシェフのアントニオと出会う。心の奥底に眠っていた情熱的な感情がわきあがり、次第に抑えがたくなっていくエンマだったが…。
<allcinema>
 
2009年
原題:IO SONO L'AMORE     I AM LOVE
上映時間 120分
製作国 イタリア
 
わたしの「扉」が、いまひらく
 
監督: ルカ・グァダニーノ 
製作: ルカ・グァダニーノ  ティルダ・スウィントン  アレッサンドロ・ウサイ 
        フランチェスコ・メルツィ・デリル    マルコ・モラビート  マッシミリアーノ・ヴィオランテ 
脚本: ルカ・グァダニーノ 
撮影: ヨリック・ル・ソー 
衣装デザイン: アントネッラ・カナロッツィ 
編集: ウォルター・ファサーノ 
音楽: ジョン・アダムズ 
出演: ティルダ・スウィントン エンマ               フラヴィオ・パレンティ エドアルド(エド
       エドアルド・ガブリエリーニ アントニオ        マリサ・ベレンソン ローリ
       アルバ・ロルヴァケル エリザベス(ベッタ)     ピッポ・デルボーノ タンクレディ
       マリア・パイアーロ イダ
       ディアーヌ・フレリ       ガブリエル・フェルゼッティ  
 
予告編を観て興味をそそられたんですけど…。
格調高い雰囲気を持つ作品でした。
 
舞台はタイトル通りミラノ。
繊維業を中心に、富と名声を築いたレッキ家一族が登場人物の中心です。
豪勢な晩さん会から幕を開けます。
レッキ家の当主の誕生日祝い。
そこで振る舞われたスープ、
長男の嫁であるティルダ・スウィントン演じるエンマの得意料理ですが、
これがキーポイントとなります。
というか、“食”がひとつのポイントになっています。
 
エンマはロシアから嫁いできて、以来故郷を捨て名前を捨て、
ミラノとレッキ家にすべてを捧げて暮らしてきました。
そんなエンマが、長くその立場で満足していたのか。
封印してきた感情があったとしても不思議ではないですよね。
 
そこに登場するのが、息子の友人のシェフ。

この作品、映像のひとつひとつにとても意味があって、
先の晩さん会で出たスープのシーン、
長男の友人のシェフが尋ねてくるシーン、
そのシェフの料理を食べるシーン、
シェフがエンマの髪を切るシーン、
などなど…。
どれにもみんな意味がある、見逃せないシーンばかりです。
 
その中のひとつ、料理を食べるシーンですが、これがとっても淫らなんですよね~。
きっとこれがきっかけで始まるんだ、と想像できてしまいます。
それがわざとらしくなく、納得して観てしまうんですよね。
とても官能的な映像でした。
食欲と性欲が結び付いた展開でした。
 
エンマとシェフが結び付くのに時間も言葉も必要なくて、
それはあっという間の出来事でした。
本当に“恋に堕ちる”という表現がふさわしいほどに…。
そんなエンマを非難できるのか…。
家族としては辛いでしょうけどね。
 
 
全編を通して、ティルダはスタイルの良さを見せつけます。
オレンジ色のワンピース姿は本当に圧倒的な美しさでした。
中々着こなせないですよ~。
ため息が出ましたもん(^^)
おまけに、どのドレスも背中が大きく開いててセクシーなの…!
 
 
そんな暮らしを捨てても、自分の感情に素直でいたい、
というエンマの気持ちも分かる気はするけど…。
全てを捨てられるかは難しい…。
おまけに、シェフの気持ちは一言もないんですよ。
というか、全体的にとにかくセリフは少ない。
表情や風景で感じ取るしかないようになってます。
だから、それを受け止められないと???ばかりになってしまうかも。
 
エンマがそこまで孤独だったか、
不満だったか、
なんて一言も語られてません。
そうだったかも、と想像するしかないんです。
でも、もしかしたら本人だってそんな風には思ってなかったかもしれませんよね。
出会ってしまった瞬間、閃光が光ったのかもしれない。
そんな出来事ってあるんじゃないかな。
 
話はそういう女性の心の揺れを描いているので、見方によったら退屈かもしれませんね~。
観る側の年齢にも関係するかも。
私は、エンマの気持ちに寄り添いながら鑑賞しました。
 
映像は美しく、ミラノの風景も堪能できます。

エンマと共にあった、メイド頭の女性の姿が心に響きました。