あなたを抱きしめる日まで (2013)

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 「危険な関係」「クィーン」のスティーヴン・フリアーズ監督が「ヘンダーソン夫人の贈り物」のジュディ・デンチを再び主演に迎え、18歳で未婚の母となり、幼い息子と強制的に引き離されてしまった女性フィロミナ・リーの奇跡の実話を基に描くヒューマン・ドラマ。50年近くも前に生き別れた息子との再会を願う母親フィロミナが辿る衝撃の旅路を、ユーモアを織り交ぜつつ感動的に描き出す。フィロミナの息子捜しを手伝うことになったジャーナリストで本作の原作者でもあるマーティン・シックススミス役は「80デイズ」「ナイト ミュージアム」のスティーヴ・クーガン。彼はジェフ・ポープとともに脚本も手がけ、英国アカデミー賞ヴェネチア国際映画祭脚本賞を獲得するとともに、アカデミー賞ゴールデングローブ賞など数々の映画賞や映画祭で脚本賞にノミネートされた。
イギリスに暮らす敬虔な主婦フィロミナ。ある日、彼女は娘のジェーンにある秘密を打ち明ける。50年前のアイルランド。10代で未婚のまま妊娠したフィロミナは、家を追い出され修道院に入れられる。そして男の子アンソニーを出産したフィロミナだったが、彼が3歳になると無理やり養子に出されてしまう。以来、片時もアンソニーのことを忘れたことはない。年老いた彼女は、どうしてもひと目我が子に会いたいとの思いが高まっていた。それを聞いたジェーンは落ち目の元エリート記者マーティンに話を持ちかける。マーティンはジャーナリストとしての再起を期してこの話を受けることに。こうして、信心深くて平凡な田舎の主婦フィロミナと無神論者でインテリ紳士のマーティン、という対照的な2人によるアンソニー捜しの旅が始まるのだったが…。<allcinema>

2013年 原題:PHILOMENA 上映時間:98分 製作国:フランス/イギリス
それは、人生を取り戻す旅
監督:スティーヴン・フリアーズ
製作:ガブリエル・ターナ スティーヴ・クーガン トレイシー・シーウォード
原作:マーティン・シックススミス『あなたを抱きしめる日まで』(集英社刊)
脚本:スティーヴ・クーガン ジェフ・ポープ
撮影:ロビー・ライアン
プロダクションデザイン:アラン・マクドナルド
衣装デザイン:コンソラータ・ボイル
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:ジュディ・デンチ/フィロミナ
スティーヴ・クーガン/マーティン・シックススミス
ソフィ・ケネディ・クラーク/若き日のフィロミナ
アンナ・マックスウェル・マーティン/ジェーン
ミシェル・フェアリー/サリー・ミッチェル
バーバラ・ジェフォード/シスター・ヒルデガード
いつものようにちょっと遅れて公開。
あちこちですでに情報を仕入れていたので、ある程度の予想を持って観賞してきました。

つまりは、生き別れの息子を探す女性の話で、
その息子は人身売買だったとか、ゲイでAIDSで亡くなったとか…。
衝撃的なことはなかったけれど、
そのせいでひとつずつのエピソードや情景を、受け止めながら観ることができた気がします。

フェロミナの息子探しを、誰が手伝ってくれるのかと思っていると、
それが真っ先に描かれています。
敬虔なクリスチャンであるフォロミナとは対照的に無神論者で、
落ち目の記者のポジションがとてもいい!
最初は乗り気じゃなかった取材だったけれど、どんどんのめり込んで行き、
最後はまるで自分のことのように親身になる…。
とても愛すべき記者でした。

そして主人公のフォロミナを演じたジュディ・デンチ
最近では007シリーズの“M”が印象的だけど、
全く違う、おしゃべり好きで人懐っこい田舎のおばあちゃん役なんですが、
やっぱりうまいな~と見入ってしまいました。
彼女の良さは、こういう役どころなのかなあ、なんて勝手に思ったり…^^;

息子探しの旅に過去の話が上手く噛み合わさって、
ひとつ進むごとにひとつ解決していくので、安心して物語に集中できる展開です。
脚本の巧さなんでしょうね。

生きることが精いっぱいだったフォロミナが、
過去を振り返り、自分の過ちを告白することを選ぶ。
それもまた敬虔なカトリックとしての彼女の選択。
宗教が絡むと難しい面もあるのですが、
単純に、残りの時間が少なくなった時、自分の血を分けた息子に一目会いたい、
と言うのは自然な感情じゃないのかな。
それでも、事実を隠し続けようとした修道院に対して『赦す』ことができるのも
やはりキリスト教の教えなのでしょうね。

フォロミナにも記者にも、それぞれに正義があって、
修道院にもそれなりに正義があった…。
人身売買や嘘をつき通そうとしたことはどうかと思うけど、
そこにいるシスターたちには、自分たちは純潔を守りとおしたと言う自負もあったわけで、
そう言われると責められない部分もあるのかと…。
いやいや100歩譲ったとしても、
やはり生きているうちに、息子とフォロミナを会わせてほしかった
と思うのは私だけではないはずです。


邦題から察するようなハッピーエンドではないけど、
なぜだか登場人物に幸せを感じることができました。

《おまけ》
ポスターを検索してびっくり。
こんなにポップなポスターだったんですね(^^)