ブルックリン (2015)
コルム・トビーンの同名小説をニック・ホーンビィの脚色、「つぐない」「ハンナ」のシアーシャ・ローナン主演で映画化したドラマ。1950年代を舞台に、アイルランドの田舎からニューヨークのブルックリンへとやって来た移民少女が、新天地と故郷の狭間で揺れ動きながら繰り広げる恋と成長を瑞々しく綴る。共演はエモリー・コーエン、ドーナル・グリーソン、ジム・ブロードベント、ジュリー・ウォルターズ。監督は「ダブリン上等！」「BOY A」のジョン・クローリー。
アイルランドの小さな町エニスコーシーで姉と母と３人で暮らす少女エイリシュ。町の食料品店で働く彼女は、意地悪な女店主にこき使われながらも、どうすることもできな閉塞感に苛まれていく。そんな妹を心配した姉ローズの力添えを得て、エイリシュは一大決心の末に単身アメリカへと渡る。過酷な船旅を経て、ようやく新天地となる大都会ニューヨークへと降り立ったエイリシュ。ブルックリンの高級デパートで売り子として働き、同郷の女性たちと寮生活を送る。しかしなかなか新生活に馴染めず、辛い日々が続く。そんな中、ダンスパーティで知り合ったイタリア系の好青年トニーと付き合うようになり、少しずつ自信を取り戻していくエイリシュだったが…。＜allcinema＞
2015年 原題：BROOKLYN 上映時間：112分 製作国：アイルランド／イギリス／カナダ
愛が見えない街で、私は未来を探していた。
監督：ジョン・クローリー
原作：コルム・トビーン
脚本：ニック・ホーンビィ
音楽：マイケル・ブルック
出演：
シアーシャ・ローナン／エイリシュ・レイシー
ドーナル・グリーソン／ジム・ファレル
エモリー・コーエン／トニー・フィオレロ
ジム・ブロードベント／フラッド神父
ジュリー・ウォルターズ／キーオ夫人
近くのユナイテッドシネマで遅れて公開。
観た人からは、高評価だったので期待していました。
あ～、好きだなあ、こういう作品。というのが観終わって直後の感想。
大きな波のない平板なドラマなんだけど、退屈することなく
主人公エイリッシュの人生の選択を見続けていました。
アイルランド＝閉塞感。
観た映画はそういう風に描いたものが多いので、そんな印象の街です。
そこで育ったエイリッシュが、夢や希望を持ってアメリカに渡る。
接客もできずに苦労しながら働き、恋をしてどんどんきれいになって、
ブルックリンに染まっていく。
見事なシンデレラストーリー？
いえいえ、華やかな成功物語ではないんですよね。
ごく普通の女の子の成長物語でした。
自分を励ましてくれた姉の突然の死で故郷に戻り、
もしかしたらそこで母親の望むような暮らしをしたかもしれない？
里帰りの前にブルックリンで結婚したエイリュシュの、故郷での生活は、
そんなことを想像させました。
ブルックリンで結婚した夫より学歴があり、品がある。
そんな男と暮らせば…。
そんな風に思ったとしても、誰も責められないかもしれない。
結婚していなければ、エイリッシュはもっと悩んだだろうな。
それでもなぜ自分が故郷を捨てたのか、それを思い出させたかつての勤め先の店主の言葉。
結婚して都会に暮らす友人が、
『小さな町では、どんなことでも筒抜け。そんな暮らしから抜け出したかった』
と言っていたことを思い出しました。
故郷を捨てたわけではない。
新しい家族と一から始めたい。
そんなエイリッシュの強い思いを感じる出航。
そしてあのポスター（⇒）がここに出てくるのか、
と納得したシーン。
登場人物に嫌な人がいないんですよね。
あまり挫折もないので、些か出来過ぎの感はなくないけど、穏やかに観られる作品って、個人的には好きです。
シアーシャ・ローナンって決して美形ではないですよね。
でも、あか抜けない少女がどんどんきれいになっていって、見事でした。
衣装の色使いも印象的でした。
