この世界の片隅に (2016)

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 戦時下の広島の軍港都市・呉を舞台に、この街に嫁いできたのんびり屋のヒロインが、物がなく苦労が絶えない日々の中でも持ち前の明るさとしなやかさで、つましくも心豊かな生活を送っていくさまと、そんなささやかな幸せが徐々に戦火に呑み込まれていく残酷な現実を、丁寧な日常描写の積み重ねで描ききったこうの史代の傑作漫画を「マイマイ新子と千年の魔法」の片渕須直監督が長編アニメ映画化した珠玉の感動作。TV「あまちゃん」で一躍国民的人気女優となった能年玲奈が“のん”名義でアニメ映画に初挑戦し、ヒロインの声を好演。
 1944年(昭和19年)2月。絵を描くことが好きな18歳のすずは、急に縁談話が持ち上がり、あれよあれよという間に広島市から海軍の街・呉に嫁にやってくる。彼女を待っていた夫・北條周作は海軍で働く文官で、幼い頃に出会ったすずのことが忘れられずにいたという一途で優しい人だった。こうして北條家に温かく迎えられたすずは、見知らぬ土地での生活に戸惑いつつも、健気に嫁としての仕事をこなしていく。戦況が悪化し、配給物資が次第に減っていく中でも、すずは様々な工夫を凝らして北條家の暮らしを懸命に守っていく。そんなある日、道に迷っていたところを助けられたのがきっかけで、遊女のリンと仲良くなっていくすずだったが…。<allcinema>

2016年 上映時間:126分
昭和20年、広島・呉。
わたしは ここで 生きている。

監督:片渕須直
原作:こうの史代
脚本:片渕須直
音楽:コトリンゴ
主題歌:コトリンゴ『悲しくてやりきれない』
声の出演:
のん/北條(浦野)すず
細谷佳正/北條周作
稲葉菜月/黒村晴美
尾身美詞/黒村径子
小野大輔/水原哲
潘めぐみ/浦野すみ
岩井七世/白木リン
牛山茂/北條円太郎
新谷真弓/北條サン
澁谷天外 (特別出演)
昨年公開されてから、どちらかというと
君の名は。】の陰に隠れていたようですけど、
じわじわと評価が上がって来て、上映館が増えてて来てますね。
行きつけのシネコンも、1月になってからの公開が
12月末に早まったくらいです。

期待していた通り、素晴らしい作品でした。

戦争を描いた作品は、今までもたくさん観てきました。
どんなに悲惨かを声高に叫んだ作品も、
目をそらしたくなるシーンがある作品もありました。

けれど、この作品にはそんな激しいシーンは少なくて、
きっと普通の人たちは、こんな風に生活していたんだろうなあと
思わせてくれました。

のんさんの声がすずに似合っているというのか、
のんびり穏やかに暮らしているすずを、
更にのんびり屋さんにしていたようです。

それだけに、世情に疎くまだまだ子供っぽいすずが、
終戦で見せた動揺は、胸に刺さりました。

戦前から戦後に生きた人たちも、現代に生きる人たちも、
ただ真面目に、日々を送っているだけ。
ただ違うのは、未来を語ることが出来るということ。
それがどんなに素晴らしいか。

新しい生活が始まるところで終わります。
それが今に繋がっている。
決してかけ離れた物語ではない、ということを感じました。