ゆれる

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「蛇イチゴ」で注目を集めた新鋭・西川美和監督が、オダギリジョーと香川照之という実力派２人を迎えて贈る上質のミステリー・ドラマ。
ある出来事をきっかけに対照的な兄弟の間に巻き起こる心理的葛藤が巧みな構成で描かれてゆく。

東京で写真家として成功し、自由奔放に生きる弟・猛。母の一周忌に久々に帰郷した彼は、そこで父と共にガソリンスタンドを経営する兄・稔と再会する。
翌日、兄弟はガソリンスタンドで働く幼なじみの智恵子と３人で近くの渓谷に足をのばす。
ところが、川に架かる細い吊り橋で、智恵子が眼下の渓流へと落下してしまう。
その時、そばにいたのは稔ひとりだった…。 

オダギリジョーという役者さんは、ちょっと苦手です。
何が原因かな～。
決して嫌いじゃないんだけど、積極的に見ようと思えなくて･･･。

今回は、彼と香川照之と、二人の世界に自然に見入ってました。

さて、ストーリーですが･･･。
う～ん。ちょっと複雑。
【ゆれる】と言うタイトル通り、いろんなものがゆれていきます。

舞台となった橋もゆれる。
人の心もゆれる。

人の心はゆれるものです。
安定している人なんていないと思います。
私も、いつもゆれてます。

それがとても良く描かれていたように思いました。

対抗心から幼なじみを抱いたのか。
兄を庇いたかったから何も見なかったと言ったのか。
殺人犯の弟になりたくなかったからなのか。
でも、そういうしがらみから開放されたくて、真実（？）を話す気になったのか。

弟の心情はいつもゆれてました。

でも、兄はゆれていたんでしょうか。
全てを知っていて、弟をゆらすことを考えていたのか。
兄の行動は、底知れぬ恐怖を感じました。

兄弟の関係は、一人っ子の私には未知なる世界です。
相手に対して、他人とは違う感情が生まれるようです。
そういう、二人にしか分からない《感情》みたいなものを強く感じました。

さて、その後の二人。
追いかける弟と、笑みを浮かべる兄。
穏やかな生活が送れていればいいのですが･･･。

父親役の伊武さんや、伯父役の蟹江さん。
素敵な役者さんですね。