フェイク



数多くのマフィアを摘発したFBI潜入捜査官、ジョー・ピストーネの捜査の全貌を描いた実話の映画化。現在もマフィアに50万ドルの懸賞金を掛けられ、隠遁生活を送る伝説的潜入捜査官ジョー役を、ジョニー・デップが熱演。また骨太なドラマに磨きをかける、アル・パチーノの好演も見もの。
単身、NYのマフィア組織に潜入したFBI捜査官ジョー。ドニー・ブラスコという潜入名で街に潜伏した彼は、ある日レフティという男に出会った。彼に息子のように可愛がられ、さらに危険な世界へと導かれてゆくドニー。そしてレフティはドニーの出現に夢を見、再び人生を掛けるが...。 

最近、DVDが発売になっていますが、未見の作品でした。
レンタルショップで見つけた時は、感動でした!

35歳くらいのジョニーは、それとは思わせないほど、ある種童顔です。
最初の登場シーンでは、口髭を生やしていますが、なんだか似合いません。
潜入捜査官という、重い役どころですが、本人にも会って、特徴を捉えたということで、
まったく《ジョニー・デップ》を感じさせません。
…というか、ドニーの存在すら薄いのです。

ところが、話が進んでいくうちに、どんどん存在感が増して、
かの名優《アル・パチーノ》と渡り合っていきます。

二人の距離が、少しずつ縮まっていく。
信頼が深まっていく。

潜入捜査官という立場から、一人の人間として接するようになっていく、
ドニーの心情の変化は、なんだったのか。
それは、『愛情』だったのでしょう。

嘘っぱちの関係ではなく、本当の『愛情』が生まれていった。

ドニーは、熱心なキリスト教信者だったのではないでしょうか。
娘とのやり取りに、それを感じました。
だからこそ、たとえ悪人だとしても、
『愛情』を注いでくれるレフティを、裏切ることができなくなっていったのではないでしょうか。

潜入捜査というテーマは、最近リメイクされた【ディパーテッド】などもありますが
どれも、哀しい人間ドラマがあります。

この作品には、派手なアクションも、派手なセリフも、派手な表現もありません。
けれど、二人の男が、少しずつ変化していく姿を感じることができます。
どちらも哀しい…。

レフティのラスト…。
「お前だから許せる」

ドニーのラスト…。
家族が見守る中、遠くを見つめる。

お互いのことを、本当に愛していたんだと感じることができます。

ジョニーが、今、彼を演じたら、また違った表現をしたかもしれない。
そんな味のある役柄です。
いい作品です。