海猫

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失楽園」「阿修羅のごとく」の森田芳光監督が北海道を舞台に狂おしき悲恋を描くラブ・ストーリー谷村志穂の同名小説を映画化。漁師の家庭に嫁いだ人妻が夫とその弟との愛に揺れ苦しむさまを情感豊かに綴る。主演は「模倣犯」の伊東美咲。共演に「壬生義士伝」の佐藤浩市と「ロスト・メモリーズ」の仲村トオル。

1980年代半ば。この日、野田薫はそれまで住んでいた函館を離れ、峠ひとつ隔てた漁村・南茅部の漁師・赤木邦一のもとへ嫁ぐ。ロシア人を父に持つ薫はその日本人離れした容姿が人目を引いてしまい、街の暮らしに息苦しさばかりが募っていた。そんな時、薫はふとしたきっかけから漁師の邦一と出会う。そして、武骨な邦一に対して街の人間にはない頼もしさと心の安らぎを感じ惹かれていったのだった。慣れない漁師の生活も、邦一の愛に支えられ懸命にこなす薫。やがて2人の間には娘・美輝も生まれ、このまま幸せな暮らしが続くかと思われたのだが…。(allcinema)


この作品は、多分映画になる頃だったと思いますが、原作を読みました。
上下巻で、登場人物一人ずつがもっと細かく描かれています。

そして何より、原作は昭和32年から始まります。
そういう、まだまだ日本が貧しかった時代の物語なのです。



そこが一番大事かも。

1980年半ばでは、この作品の主人公・薫の苦悩は描ききれないと思います。


薫は、ロシア人の男性と駆け落ちした母が生んだハーフの女性。
ハーフであるが故の、外見のコンプレックス。
…瞳の色や肌の色など…。

それが嫌で育った街を離れて、漁師町に嫁いでいく。

薫の描き方が薄かったし、伊東美咲の演技が薄かったし、
何故に兄弟二人が取り合うのか、よく分らなかったですね。
あまりの薄さに、誰が主役なの?という思いに駆られました。


原作はもっと重厚なんです。

重厚だったのは、伊東美咲以外の出演者。

佐藤浩市のこんな無骨な役は珍しいかも…。
中村トオルは、切ない表情はいいですね~。
そして何より、三田佳子
最近もまた身内のことで取りざたされておりましたが、
女優さんとしては、やはり素晴らしいです。

きっちりと着物を着こなし、病に倒れた娘を救いに行こうとする姿、
感動的でした。

薫の娘役で登場のミムラ蒼井優も、出番は少なかったけど、印象的でした。

…やっぱり主演女優と脚本が…。


本当に残念です。

3世代の女性の、壮大な物語を観たい方は、
…ぜひ原作をお読みください…。