ジョゼと虎と魚たち

芥川賞作家・田辺聖子の同名短編小説を、「金髪の草原」の犬童一心監督が妻夫木聡と池脇千鶴主演で映画化したピュアで切ないラブ・ストーリー。ふとしたキッカケで恋に落ちたごく普通の大学生と不思議な雰囲気を持つ脚の不自由な少女、そんな２人の恋の行方を大阪を舞台にキメ細やかな心理描写と美しい映像で綴る。これが脚本家デビューとなる渡辺あやは、岩井俊二監督のウェブサイトのシナリオ応募コーナーへの応募がきっかけでプロデューサー久保田修の目に止まり抜擢された。
　大学生の恒夫はアルバイト先の麻雀屋である噂を耳にする。それは、近所に出没するひとりの老婆のこと。彼女はいつも乳母車を押しているが、その中身を知る者は誰もいないというのだ。そんなある朝、恒夫は店のマスターに頼まれて犬の散歩に出掛けると、坂道を走ってくる例の乳母車と遭遇する。そして、彼が乳母車の中を覗くと、そこには包丁を持った少女がいた。脚が不自由でまったく歩けない彼女は、老婆に乳母車を押してもらい好きな散歩をしていたのだ。これがきっかけで彼女と交流を始めた恒夫は、彼女の不思議な魅力に次第に惹かれていくのだが…。(allcinema)

忘れたい、いとおしい、
忘れられない。

ある日、恒夫は、乳母車に乗った脚の不自由な少女と出会った

2003年作品

妻夫木くん観たさでレンタルしたので、内容はチェックしないまま…。

普通の大学生の青春ものかと思っていたら、
驚きの展開が待っていました。

乳母車に乗ったジョゼが登場してきてから、
この作品の核心が少しずつ見えてきます。

ただ、健常者と身障者の恋愛物なのかと思っていると、
ちょっと違う気がしました。
主人公の恒夫くんは、あまりに普通にジョゼに接して行って
普通に恋愛感情を持って行くのですから…。

普通に恋愛して普通に別れて…。
そういう青春時代のひとコマとして見ることができます。
身障者だから特別なのではなくて、
人を好きになることも、生きていくことも若い頃は身勝手なのですよ。

恒夫くんは重荷だと感じてしまったから、こうするしかなかった。
ジョゼは生きて行かなくちゃいけないから、ご飯を食べる支度をする。

自分のことを悲観する前に、
生きていくために買い物にも行くし、ご飯も食べる…。

ジョゼが強いからではなくて、
生きていくためにはそうするしかないのです。

恒夫くんのことも、絶対に責められない。

切ないけど、人の気持ちに素直な作品だと感じました。

妻夫木くんの上手なキスシーンを観たい方、
青春ドラマを観たい方、いかがでしょう。