つぐない

イメージ 1英国を代表する作家の一人、イアン・マキューアンの傑作『贖罪』を、「プライドと偏見」のジョー・ライト監督、キーラ・ナイトレイ主演で映画化した衝撃と感動の大河ロマンス。小説家を夢見る多感な13歳の少女が、無垢なるゆえに犯した一つの過ちによって引き裂かれてしまった愛する一組の男女が辿る過酷な運命の行方と、自らの罪を一生をかけてあがなおうと決意した少女の贖罪の人生が力強いタッチで描かれていく。共演は「ナルニア国物語」のジェームズ・マカヴォイ、「ジュリア」のヴァネッサ・レッドグレーヴ、そして新人シアーシャ・ローナン
 1935年、夏のイングランド。政府官僚ジャック・タリスの屋敷では、小説家を夢見る末娘のブライオニーが休暇で帰省する兄とその友人を自作の劇で歓待しようと準備に追われていた。一方、大学卒業後の身の振り方が定まらず鬱屈した日々の姉セシーリアは、ある出来事をきっかけに使用人の息子ロビーへの愛を自覚する。ところが、ロビーにほのかな想いを抱いていたブライオニーは、小さな行き違いの積み重ねと嫉妬心から姉とロビーの関係を誤解してしまう。そんな時、タリス家に預けられていた15歳の従姉妹ローラが敷地内で強姦されるという事件が起きる。現場を目撃したブライオニーは、ロビーが犯人だと告発、彼は無実を証明することも出来ず警察に連行されていく。4年後、ロビーは戦場の最前線に一兵卒として送られ、セシーリアはそんなロビーとの再会を信じて、彼への手紙をしたため続けていた…。(allcinema)



2007年 イギリス製作

原題:ATONEMENT


一生をかけて償わなければならない罪があった。
命をかけて信じ合う恋人たちがいた。




キーラが出るというので、もう少し古い時代の物語かと思っていましたが、
1935年という字幕がでて、この物語が始まりました。

とても一言で言い表せない、複雑な感情が入り乱れた作品です。


ブライオニーという、上流階級のお嬢様の視点が重要になってきます。
多少大人びた感じがするのは、脚本を書いている作家志望だということや、
その笑顔の少ない表情からでしょうか。

このブライオニーが、少女ゆえの潔癖症や残酷性、嫉妬もあったかもしれないと思わせる、
様々な感情からついたひとつの嘘。
どんなに想像力が豊かな少女でも、所詮子供の浅はかさからついた嘘は、
姉セシリアとその恋人ロビーの運命を大きく変えてしまいます。



「comeback to me」
何度もセシリアがつぶやいたこの言葉の意味は、愛していると同義語に聞こえます。


愛する恋人たちを引き裂き、それを謝罪できないままに時間が流れてしまうブライオニー。

割り切れなさが残ります。
ブライオニーのつぐないとは何だったのでしょう。

成就することのなかった恋愛を、せめて小説の中だけは幸せなふたりを描きたかった。
自分の想像力で引き裂いたふたりを、最後はその想像力でつぐなうしかなかった…。



あまりに軽率な行為で、とても冷静には観られない内容なのに、
映像の美しさ、キーラもとても綺麗な背中を見せているし、
少女時代のブライオニーを演じたシアーシャ・ローナンが、
大人になりかけた少女をとても素晴らしく演じていたし、
タイプライターの音を利用した音楽も、とても見事に融合していたので、
嫌な思いを引きずらずに観ることができました。


第二次世界大戦も絡んで来て、戦争の悲惨さもあちこちで見受けられます。

妹の嘘だけでなく、そういった時代もふたりを引き裂いたのでしょう。



ブライオニーの気持ち。
セシリアの気持ち。
ビリーの気持ち。
どんな映画でもそうですが、この作品は更に想像力を持って観たい作品です。