ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

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マグノリア」「パンチドランク・ラブ」のポール・トーマス・アンダーソン監督が名優ダニエル・デイ=ルイスを主演に迎え、石油を掘り当てアメリカンドリームを実現した男の欲望と裏切りの人生模様を骨太に描く一大叙事詩。原作は、シカゴの精肉業界の実態をあぶりだした『ジャングル』などで知られる社会派作家アプトン・シンクレアが27年に発表した『石油!』。ダニエル・デイ=ルイスは本作の演技で全米の映画賞を席巻、アカデミー賞でもみごと主演男優賞に輝いた。
 20世紀初頭。一攫千金を夢見る山師の男ダニエル・プレインヴュー。孤児を拾って自分の息子H.W.として連れ歩く彼は、ある日ポールという青年から自分の故郷の土地に油田があるはずだとの情報を得て、西部の町リトル・ボストンへと向かう。そして、すぐさま土地の買い占めに乗り出す。そんな中、ポールの双子の兄弟で住人の信頼を一手に集めるカリスマ牧師イーライが、ダニエルへの警戒を強めていく。(allcinema)


THERE WILL BE BLOOD 2008年作品



欲望と言う名の黒い血が
彼を《怪物》に変えていく…。




作品冒頭、ほとんど台詞がないシーンが続きます。
これからいったい何が始まるのか…。


石油採掘にまつわる一人の男の物語です。
この男…ダニエルは、とにかく自分が一番の男で、すべてが石油採掘とその利益に繋がっていきます。

一攫千金の富を追い続け、息子さえも交渉のための道具としてしか考えないダニエル。
その息子H.Wも、事故で聴力を失ったことをきっかけに確執が生まれ、
気がつけば、周りには誰もいなかった…。


石油を掘り当てたことは成功だと言えるでしょうが、
ダニエル人生は、果たして成功だったのでしょうか。

ダニエルはとても枯渇してるように感じました。
とても乾いていて、潤いがほしくて、それが富と成功だと信じて…。

人間、負け組より勝ち組を望むものでしょう。
だからダニエルが形振り構わずに、上り詰めたことも分からないではないけれど、
その結果が、ボーリングができるほどの豪邸に一人…、というのも堪らない。




虚しさが残ったラストでした。


主演のダニエル・デイ=ルイスは、本当に狂人のような眼をしていました。
まさに怪演というところでしょう。
ずっと狂気の中にいたようでした。

そして音楽も異様な雰囲気を作り出しています。


けっして長さを感じる作品ではないけれど、のめり込むと苦しいかもしれません。
娯楽性を求める作品でもありません、
淡々とダニエルの生き様を追い続けるといい気がします。

映像もとても素晴らしいですので。