告発のとき

イメージ 1「クラッシュ」のポール・ハギス監督が、イラク戦争から帰還した一人の兵士を巡る衝撃の実話を映画化したミステリー・ドラマ。帰還後間もなく無断離隊したとの連絡を受けた父親が、息子の汚名を拭うべく行方を捜す中で次第に浮かび上がる過酷な真実を描き出す。主演は「逃亡者」のトミー・リー・ジョーンズ、共演にシャーリーズ・セロンスーザン・サランドン
 2004年11月1日、元軍警察のハンク・ディアフィールドのもとに、軍に所属する息子のマイクが行方不明だとの連絡が入る。軍人一家に生まれ、イラク戦争から帰還したばかりのマイクに限って無断離隊などあり得ないと確信するハンク。不安に駆られた彼は、息子の行方を捜すため基地のあるフォート・ラッドへ向かう。同じ隊の仲間に話を聞いても事情はさっぱり分からず、念のため地元警察にも相談してはみたものの、まともに取り上げてはもらえず途方に暮れる。そんな中、女性刑事エミリー・サンダースの協力を得て捜索を続けるハンクだったが、その矢先、マイクの焼死体が発見されたとの報せが届く。悲しみを乗り越え、真相究明のためエミリーと共に事件の捜査に乗り出すハンクだったが…。(allcinema)


アメリカが目を背けた衝撃作


2007年アメリカ製作作品


原題:IN THE VALLEY OF ELAH


監督:ポール・ハギス
ハンク・ディアフィールド
エミリー・サンダース




行方不明になった息子を探すサスペンスなのかと思っていたら、
確かに事件を捜査していくのですが、そこからはもっと奥深いものが見えてきます。


戦地から戻った若者が、平穏な日々に馴染めず、結局は戦地へ戻っていく、
というアニメを観たことがありますが、
そういうことは、実際にもあるそうですね。

元軍警察軍曹の父親は、愛国心に満ち、今も軍隊生活同様の生活習慣を守る紳士的な男。
ふたりの息子を、軍人にしたことを誇りに思っていました。
だからこそ、その息子の死に対して、ただ黙って見ていることはできなかったのです。

でも、そこで父親が直面したのは、
イラクに送り込まれた若者たちが、麻薬や死の恐怖に蝕まれていたことを知り、
息子もまた例外ではなかったことを知って苦悩します。

軍人にしたばかりに息子を亡くしてしまった母親の悲しみも痛いほど伝わります。

戦争が若者たちに何をしたか…。
戦争で人の心が壊れていく様は、観ていて苦しくなりました。

単なる愛国心だけでは解決できない…。
そんな父親が出した救難信号は、アメリカを救ってくれと言っているのでしょうか。


それにしても、こういうテーマを自分で映画にするって、
アメリカの懐の深さを感じますね。