シンドラーのリスト

イメージ 1ナチによるユダヤ虐殺をまのあたりにしたドイツ人実業家オスカー・シンドラーは、秘かにユダヤ人の救済を決心する。彼は労働力の確保という名目で、多くのユダヤ人を安全な収容所に移動させていくのだが……。スピルバーグが長年あたためていたT・キニーリーの原作を遂に映画化。念願のアカデミー賞(作品・監督・脚色・撮影・編集・美術・作曲)に輝いた作品で、その圧倒的なドラマには胸震わさずにはいられまい。ただ、これが実話である事、人間の尊厳に関わるものである事を考えた時、有無を言わせぬ強制力が働いているのも事実。だがそれよりも、3時間を超す長尺をまったく飽きさせないスピルバーグの構成力・演出力は認めてやまないところだ。本作と正反対の位置にある「ジュラシック・パーク」を同時期に作っていた男、それがスピルバーグ。これは皮肉ではなく、いかにこの人物が“芸術”と“娯楽”の間でさすらう<映画>を知り尽くしているかという事なのだ。この絶妙なバランス感覚を持つ同時代の映画作家は、いない。(allcinema)


1993年 アメリカ製作作品

監督: スティーヴン・スピルバーグ
原作: トーマス・キニーリー
脚本: スティーヴン・ザイリアン
音楽: ジョン・ウィリアムズ
出演: リーアム・ニーソン オスカー・シンドラー
    ベン・キングズレー イザック・シュターン
    レイフ・ファインズ アーモン・ゲート
    キャロライン・グッドオール エミリー・シンドラー
    ジョナサン・サガール ポルデク
    エンベス・デイヴィッツ ヘレン・ハーシュ




やはり一度は観なくてはいけない作品でしょう。

3時間以上で、DVDは2枚に及ぶ長さですが、飽きることなく観ることができます。
DVDを入れ替えるのすらもどかしいくらいでした。


ナチスドイツのユダヤ人迫害を取り上げた作品は、
今までにも観てきましたので、
ナチスの残虐やユダヤ人の悲惨さに、それほどの新鮮味は感じません。

それと、シンドラーという人物がもっとクローズアップされた、
シンドラーの話かと思っていたのですが、
残念ながら、シンドラーが何を考え、リストを作るまでになったのか、
突っ込みが足りなくて物足りませんでした。

どちらかというと、ナチスドイツの行為ばかりが強調されています。

戦争でひと儲けしようとしたオスカー・シンドラー
最初は、ただ賃金が安いという理由でユダヤ人を雇っていました。
ところが、そこで出会ったイザックの人柄に接し、
そして何より、ドイツ軍将校のアーモン・ゲートの狂気に出合ったことで
お金より大切な物を知り、ユダヤ人を守ろうとした訳です。

想像することでしかシンドラーを感じられなかったので、
リストを作成したときも、ユダヤ人を救ったときも、感動はなかったのです。

ドイツの敗戦で、今までの追われる立場のユダヤ人は自由になり、
シンドラーは戦犯として追われる立場になったとき、
リストに載ったことで救われたユダヤ人全員が、
シンドラーを救うためにサインした書面を渡すシーンは、
人の優しさを感じて胸が熱くなりました。

が、車であと何人、バッチであと何人救える、という台詞はいかがなものか。
多くの人を救ったのは事実だけど、
救えなかった命もたくさんあるんだし…。
せっかくの感動に水を差された気分になりました。

そして最後。
亡くなった人たちに捧げるというコメントも、いささか興ざめ。
相応しくない気がしました。



事実があまりに大きすぎて、
シンドラー自身を取り上げる時間は少なかったような気がしますが、
シンドラーの片腕となったイザック・シュターンを演じた
ベン・キングスレーは適役でした。
誠実で頑固なユダヤ人を演じています。

そして、ドイツ軍将校アーモン・ゲートを演じたレイフ・ファインズは、
圧巻の演技で、厳格で、ある種狂気な軍人を演じています。
意味なく…本人には意味はあるのでしょうが、
バルコニーからユダヤ人に発砲するシーンは、唖然とします。


戦争で、人は普通ではなかったのでしょう。

迫害された多くのユダヤ人には悲しい戦争でしたけど、
ドイツ人にとっても悲しい戦争だったのだと、
処刑されるゲートの姿に思いました。


人種差別による迫害は、世界中で行われています。
特典映像で見られるように、
若い人へ知らせることで、同じ過ちを繰り返さないようにと願うのは、
生還した人たちだけの思いではありません。

世界中で、みんなが同じように思うことで、
悲しい戦争は無くなるのかもしれません。


この作品の良し悪しを語るのではなく、
この作品を通して感じたことを、大切にしたいと思います。

観て良かったです。