あの日の指輪を待つきみへ

イメージ 1第二次世界大戦前夜の1941年と50年後の1991年を舞台に、一つの指輪に秘められた男女の切ない運命を描いたラブ・ストーリー。ヒロイン、エセル役には大女優シャーリー・マクレーンと「The OC」のミーシャ・バートン。共演に「サウンド・オブ・ミュージック」「インサイド・マン」のクリストファー・プラマー。監督は「ガンジー」「遠い夜明け」の名匠リチャード・アッテンボロー
 1991年、アメリカ・ミシガン州ブラナガン。長年連れ添った夫を亡くしたばかりのエセル・アンのもとに、アイルランドから報せが届く。ベルファストの丘で彼女の名が刻まれた指輪が発見されたというのだ。しかし、そんな報せにもつれないエセル。娘のマリーは、両親の長年の親友ジャックに真相を尋ねるが、ジャックもまた過去を語ろうとはしなかった。50年前、若きエセルは3人の青年、チャック、ジャック、テディと青春を謳歌していた。やがて彼女とテディは愛を誓い合うが、その直後、テディは出征してしまう。その際、親友のジャック、チャックと一つの約束を交わして戦地に旅立ったテディだったが…。(allcinema)


運命の愛は、一度きりじゃない。


2007年 イギリス/カナダ/アメリカ製作作品
原題:CLOSING THE RING

監督: リチャード・アッテンボロー
脚本: ピーター・ウッドウォード
音楽: ジェフ・ダナ
出演: シャーリー・マクレーン エセル・アン
    クリストファー・プラマー ジャック
    ミーシャ・バートン 若き日のエセル・アン
    スティーヴン・アメル テディ
    ネーヴ・キャンベル マリー
    ピート・ポスルスウェイト クィンラン
    ブレンダ・フリッカー エレノア
    グレゴリー・スミス 若き日のジャック
    デヴィッド・アルペイ 若き日のチャック
    マーティン・マッキャン ジミー
    ジョン・トラヴァース 若き日のクィンラン




ラブストーリーは好きなジャンルで、予告編を見て観たいと思っていた作品です。

アイルランドのラジオニュースが、ベルファストの丘から指輪が見つかったという一風変わったニュースが流れた。もちろん、ニュースになるからには、ただの指輪ではない。50年以上も前にその丘で墜落死した、アメリカ軍の航空兵の結婚指輪だったのだ。

その出来事に触発された脚本家が、この作品を書き上げた…。



1991年と1941年の二つの時代と、
アメリカとアイルランドを行きつ戻りつするので、
ひとつのシーンが終わるたびに、
少しずつ過去と現在が見えてきます。


戦争で、若い4人の男女の運命が変わってしまう。
恋人を亡くしたエセル・アン。
泣き友人の恋人を託されたチャック。
ふたりを見守り続けながらも、エセル・アンへの想いを封じ込めたジャック。


亡くなった恋人への想いは枯れることがなく、
心の中で、瑞々しく生き続けていく、
エセル・アンの50年はそうして過ぎていたのです。

仲間の遺志を継いで、チャックはエセル・アンと結婚し、
ジャックはずっと見守って来ました。


チャックが亡くなり、
そこへ指輪が見つかったという知らせが入り、
エセル・アンは、過去への旅に出ます。


登場人物の心模様は、こと細かく描かれてはいませんが、
展開はそれほど奇抜なものではないので、
ゆっくりと思いを巡らせながら観ることができました。



娘にとって父親は血の繋がりがあっても、
母親と父親は他人なんだと、
改めて思ってしまいますね。

父親以外に恋人がいた上に、
『私の人生は21歳で終わった』
なんて母親の口から聞かされたら、娘の怒りも当然でしょう。


母と娘の再生の物語かと思えば、
老いたエセル・アンと、見守ってくれたジャックの恋物語になって
些か驚かされたけれど、
人生が続く限り、愛は終わらない…
というテーマなのだそうだから、
戦争に振り回されたふたりが、新しい人生を始めるのは賛成。


同じように、アイルランドでも
戦争に振り回されて丘を掘り続けたクィンランもまた、
50年経って、ようやく区切りをつけることができたのでした。


愛する人を亡くしたエセル・アンが、最後に見せた涙は、
恋人と夫への愛情だった気がします。
夫へも感謝の気持ちも、愛情と言えるのではないでしょうか。



時間が短めで、あっさりした感じの仕上がりです。
ちょっと物足りなさもあるけど、
想像しながら、自分なりの世界に入りながら観られる作品でした。


戦争で人生が変わる…。
こんな物語にも、戦争の悲しみと怒りが感じられます。


心に沁みる、愛情溢れる作品でした。