アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン

イメージ 1
これまでベトナムを舞台に映画を撮り続けてきた「青いパパイヤの香り」「夏至」のトラン・アン・ユン監督が、キリストの受難をモチーフに国際色豊かなキャストで描く観念的なミステリー・ドラマ。主演は「ラッキーナンバー7」「ブラック・ダリア」のジョシュ・ハートネット。共演に木村拓哉イ・ビョンホン、トラン・ヌー・イェン・ケー。トラウマを抱えた元刑事の私立探偵クライン。ある時、富豪の男から失踪した息子シタオ捜索の依頼を受ける。シタオの足どりを追ってLAからフィリピンに飛び、さらに香港へと辿り着く。一方、マフィアのボス、ス・ドンポもまた、連れ去られた最愛の女リリと一緒にいるという男、シタオを血眼になって捜していた。(allcinema)
 
 
 
 
 
 
原題:I COME WITH THE RAIN

2009年 フランス
 
男たちの運命は、
美しく、そして切ない…
 
監督: トラン・アン・ユン 
脚本: トラン・アン・ユン 
音楽: レディオヘッド  グスターボ・サンタオラヤ 
出演: ジョシュ・ハートネット クライン
    木村拓哉 シタオ
    イ・ビョンホン ス・ドンポ
    トラン・ヌー・イェン・ケー リリ
    ショーン・ユー メン・ジー
    イライアス・コティーズ ハスフォード
    ユウセビオ・ポンセラ  
 
 
日・米・韓、三代スター競演ということで話題になった今作品。
けっこう楽しみにしてたんですが…。
 
衝撃的でしたー!
こんなにグロいシーン、痛いシーンが多いと思わず…。
途中で何度か目を背けてしまいました。
 
ジョシュ・ハートネット演じる元刑事のクラインは、
猟奇殺人の犯人を追っているうちに、その犯人に同化してしまい、
精神を病んで刑事を辞めて、私立探偵に。
 
そのクラインの元に、息子を探してほしいという富豪からの依頼。
その息子・シタオを演じるのはキムタク君。
親のいない子供たちの為にボランティア活動をしていて、
その後、資金繰りの最中に殺されてしまう。
 
このシタオという青年は、他人の痛みの身代りになることができるという
不思議な能力を持っていて、
その能力で人々を救うことを使命としているが…。
どうやら生き返ったらしい…?
 
イ・ビョン・ホン演じるヤクザのボス・ドンポは、非常な男なんだけど、
リリーという恋人には物凄い愛情を注いでいて、
彼女を誘拐した男を殺し、誘拐された部下を殺し、
そして助けたシタオすら、殺そうとする。
 
クラインの素性はよく伝わって来て、
シタオの捜索でも、もしかしたらまた誰かと同化してしまうんじゃないかと思うくらい、
危険な感じを漂わせます。
 
が、ヤクザのドンポの偏った愛情や、シタオの人と成りがイマイチ掴めず、
グロくて痛いシーン以外の、物語の部分が難しかったです。
 
もしかしたらシタオはキリストの再来なのかしら?と思ってしまいます。
どこかしらにそういう暗示があったのかもしれませんが、
キリスト教に明るくない者にとっては、かなりハードルが高い内容でした。
 
あちこちのレビューでは、かなり酷評されているようですが、
それほど最悪だとは思いません。
ただ、万人受けする作品でもないことは間違いありません。
 
痛みで生きることを表現した…。
重い十字架を背負ってゴルゴダの丘を目指すキリストは、
全ての人の痛みや苦悩を引き受けたのです。
十字架にかかって痛みを受け止めたのです。
 
クラインは過去の罪の痛みに、
ドンポは愛の痛みに、
シタオは肉体的な痛みに、
苦悩し続け癒しを求め続けます。
 
もちろんその姿は美しもありますが…。
 
痛みこそが尊いものである、ということを言いたいのかな~と、思えるのですけど、
この三人を起用した娯楽作品を期待して観ると、“痛い目”に合います(^^ゞ
決して興味本意ではご覧になりませんように・・・。
 
ハードボイルドでもなく、哲学的でもなく、
何となく中途半端だったのが残念でした。