ヒアアフター (2010)

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硫黄島からの手紙」以来のコンビとなるクリント・イーストウッド監督とスティーヴン・スピルバーグ製作総指揮で贈るスピリチュアル・ヒューマン・ドラマ。死後の世界をテーマに、それぞれのかたちで死と向き合った三者の人生が運命にいざなわれるがごとく絡み合っていくさまを感動的に綴る。主演は「インビクタス/負けざる者たち」に続いてイーストウッド監督作出演となったマット・デイモン。共演に「スパニッシュ・アパートメント」「ハイテンション」のセシル・ドゥ・フランス
 パリのジャーナリスト、マリーは、恋人と東南アジアでのバカンスを楽しんでいた。だがそのさなか、津波に襲われ、九死に一生を得る。それ以来、死の淵を彷徨っていた時に見た不思議な光景(ビジョン)が忘れられないマリーは、そのビジョンが何たるかを追究しようと独自に調査を始めるのだった。サンフランシスコ。かつて霊能者として活躍したジョージ。今では自らその能力と距離を置き、工場で働いていた。しかし、好意を寄せていた女性との間に図らずも霊能力が介在してしまい、2人は離ればなれに。ロンドンに暮らす双子の少年ジェイソンとマーカス。ある日、突然の交通事故で兄ジェイソンがこの世を去ってしまう。もう一度兄と話したいと願うマーカスは霊能者を訪ね歩き、やがてジョージの古いウェブサイトに行き着く。そんな中、それぞれの事情でロンドンにやって来るジョージとマリー。こうして、3人の人生は引き寄せ合うように交錯していくこととなるが…。(allcinema)
 
2010年 アメリ
原題:EREAFTER
 
監督: クリント・イーストウッド 
製作: クリント・イーストウッド  キャスリーン・ケネディ  ロバート・ロレンツ 
製作総指揮: スティーヴン・スピルバーグ  フランク・マーシャル 
               ティム・ムーア  ピーター・モーガン 
脚本: ピーター・モーガン 
撮影: トム・スターン 
プロダクションデザイン: ジェームズ・J・ムラカミ 
衣装デザイン: デボラ・ホッパー 
編集: ジョエル・コックス  ゲイリー・ローチ 
音楽: クリント・イーストウッド 
出演: マット・デイモン ジョージ
       セシル・ドゥ・フランス マリー・ルレ
       フランキー・マクラレン マーカス/ジェイソン
       ジョージ・マクラレン マーカス/ジェイソン
       ジェイ・モーア ビリー
       ブライス・ダラス・ハワード メラニー
       マルト・ケラー ルソー博士
       ティエリー・ヌーヴィック ディディエ
       デレク・ジャコビ  ミレーヌ・ジャンパノイ   ステファーヌ・フレス   リンゼイ・マーシャル 
       スティーヴン・R・シリッパ  ジェニファー・ルイス  ローラン・バトー   トム・ベアード 
       ニーヴ・キューザック   ジョージ・コスティガン
 
 
イーストウッド監督とマット・デイモン主演。
予告編が始まったころから観たいと思っていました。
それにしても霊能者の話とはまた…。
と思っていましたけど、かなり予想とは違っていました。
 
冒頭はフランス語。
バカンスで訪れていた地で大津波に合って流され続けるシーンは、
身体が強張るほどの緊張感でした。
津波の被害は、大量の水だけではなく、流れてくる物でも命を奪われることがある。
そう感じた瞬間もありました。
マリーは何とか生き返るんですけど、その間に見えた物。
それがその後のマリーの人生観を大きく変えていきます。
 
 
サンフランシスコで暮らすジョージは、元は霊能力者としてその名を知られていたけど、
それを才能という楽観的な兄とは違い、『呪い』と言って嫌っていました。
その力のせいで普通の暮らしができないジョージの悲しみ。
この描き方が見事で、ジョージの繊細さや苦悩が手に取るように伝わります。
特に一人での食事のシーン。
とてつもない寂しさを感じるシーンで、胸が痛みました。
 
 
薬物中毒の母親と双子の兄弟マーカスとジェイソンが暮らすのはロンドン。
ジェイソンが不慮の事故で命を落とし、
厚生施設に入る母親とも引き離されたマーカスは、もう一度兄と話したいと思い続けます。
 
 
この三人の運命がどうやって絡み合うのか…。
淡々と進みながらも、確実に繋がって行きます。
 
マリーとマーカスの、積極性というのか行動力というのか、
ポジティブな思考が三人を結び付けていくんですけど、
死者との対話や死後の世界を描いていくのかと思いきや、
実はそれを手段として、ふたりが行動し続けるから結びつくんだという、
生きることを描いているんだと思いました。
 
ジョージがディケンズ好きだったということが
ロンドンで全てを結び付けるという伏線の張り方も憎い。
 
ディケンズおたくのジョージに、笑えるシーンもあったり(^^)
運命の女性かと思っていた、料理教室で出会った女性との絡み。
これもジョージの力のせいで破たんするんだけど、
この料理学校でのシーンはとても官能的だったり、
と、死者に目線を置くのではなく、
常に生きている人間に目線を置いている描き方です。
 
スピードで押し切る内容ではなく、
ひとつずつをしっかりかみしめながら進んで行く展開も好感が持てます。

全てを解決するのではなく…。
観る側の想像力をかき立ててしまうところが、
イーストウッド監督の力なのでしょうか。
 
結末の描き方は賛否あるようでうすけど、個人的には◎です。
これからの未来は、明るそうだと想像しております(^^)
 
孤独から解放された三人に、
誰かと関わって生きていくことに臆病にならないように。
そう感じさせてくれる作品でした。
 
大好きなマット君。
【ボーンシリーズ】みたいにエネルギーを発散し続ける役とは正反対の、
影の薄い役を演じてます。
どんな役でも演じられる、良い俳優さんになってますね(^^)
 
イーストウッド監督は次回はレオ君と組むそうで、
そちらも楽しみですね。