マイ・ブラザー

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  スザンネ・ビア監督の2004年のデンマーク映画ある愛の風景」を豪華キャストでハリウッド・リメイクしたヒューマン・ドラマ。戦地での体験によって心に大きな傷を抱えて帰還した男の苦悩と、それを受け止めようと葛藤する家族の姿を描く。出演はトビー・マグワイアジェイク・ギレンホールナタリー・ポートマン。監督は「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」のジム・シェリダン
 妻グレースの良き夫であり、かわいい2人の娘の良き父である米軍大尉のサム。一方、その弟トミーは問題ばかりを起こす家族の厄介者。彼が銀行強盗での服役から出所したばかりのある日、入れ替わるようにサムがアフガニスタンの戦地へと出征する。やがて、グレースのもとにサムの突然の訃報が届く。悲嘆に暮れるグレースと娘たちを前に、心を入れ替え、彼らの支えになろうと決意するトミー。徐々にグレースとの距離も縮まっていくが、そんな時、死んだと思われていたサムの生存が確認される。そして、家族との感動の再会を果たしたサムだったが…。(allcinema)
 
2009年 アメリ
原題:BROTHERS
 
世界の果てをみた兄に、まだ声は届くだろうか。

監督: ジム・シェリダン 
製作: ライアン・カヴァナー  シガージョン・サイヴァッツォン  マイケル・デ・ルカ 
製作総指揮: タッカー・トゥーリー  ザック・シフ=エイブラムズ 
脚本: デヴィッド・ベニオフ 
オリジナル脚本: スサンネ・ビア  アナス・トマス・イェンセン 
撮影: フレデリック・エルムズ 
プロダクションデザイン: トニー・ファニング 
衣装デザイン: デュリンダ・ウッド 
編集: ジェイ・キャシディ 
音楽: トーマス・ニューマン 
主題歌: U2  『WINTER』
出演: トビー・マグワイア サム・ケイヒル
    ジェイク・ギレンホール トミー・ケイヒル
    ナタリー・ポートマン グレース・ケイヒル
    サム・シェパード ハンク・ケイヒル
    クリフトン・コリンズ・Jr カヴァゾス少佐
    メア・ウィニンガム エルシー・ケイヒル
    テイラー・ギア マギー・ケイヒル
    ベイリー・マディソン イザベル・ケイヒル
    キャリー・マリガン キャシー・ウィリス
    パトリック・フリューガー  ジェニー・ウェイド  オミッド・アブタヒ 
    ナヴィド・ネガーバン  イーサン・サプリー  アーロン・シヴァー  レイ・プルーイット
 
 
幸せな家族を襲った悲劇。
軍人の家族なら、それはいつ起こっても不思議ではないかもしれないけど、
覚悟していたかもしれないけど、
なぜ自分の家族が、なぜ自分の夫が、そう思ったはずです。
 
夫を亡くしたグレースが、拠り所として夫の弟を頼ったとしても、
それを誰も責めることはできません。
 
弟、トミーは優秀な兄と違って父親から見れば落ちこぼれかもしれないけど、
気持ちの優しいトミー。
姪っ子たちともすぐに心が通い合うし、決して落ちこぼれではないんでしょうけどね。
父親は事あるごとに兄と比べてしまう。
それに反発していきたきたトミーも、グレースや姪っ子たちとの関わりで
もしかしたら初めて普通の人としての生き方をすることができたのかもしれません。
 
そんなとき、優秀な兄が、優秀な夫が、実は生きていて帰ってきた。
それは喜ばしいことだったんです。家族にとって。
でも何かが違っていた。
 
サムがどうして人が変わったのか、
それは同時進行で描かれているので事情は分かるんですけど、
その見せ方が良かったのかどうかは賛否分かれるところだと思います。
 
そしてその後、サムとグレースと、そして子供たちの苦しい日々が始まります。
常に緊張感にさらされる日々に耐えきれず、長女が発した一言。
この長女の一言。
それは本人には悪意はない、勢いだけで口から出てしまったウソだったけど、
正直な思いだったのでしょう。
パパがいないのは淋しかったけど、こんなパパならいないほうがいい。
トミーおじさんのほうがいい。
そう思ったとして、その思いだって誰にも責められません。
でも、それで事態が最悪な状態に陥らなかったのはホッとします。
もしこれで事態が変わっていたら・・・。
【つぐない】みたいな展開は辛いから・・・。
 
家族として何が正解か。
たとえそれが仕事のためとはいえ、
心に傷を負った人間を受け止めていくのは大変なことですよね。
それを受け入れるか、
それとも心が通い始めたトミーを選ぶのか。
グレースがどういう決断をするか…。
 
“ブラザーズ”というタイトルではありますけど、
そうしても視線はグレースに向かってしまいます。
彼女がどう生きて行くのか。
 
一応の結論を見たような感じではあるけど、
この家族の再生は、トミーとのことを含めて、始まったばかりだと言えるでしょう。
 
 
狂気のサムを演じたトビー・マクガイヤー。
スパイダーマンのイメージだったので、かなり驚きの演技力でした。
グレースを演じたナタリー・ポートマン。
今乗りに乗ってる女優さんですね。
美人だけど、その年ですでに二人の子持ち?と思ってしまう
生活感溢れた主婦・母を好演しています。

家族の在り方を描きながら、これもまた反戦映画ですね。