ブラック・スワン (2010)

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レクイエム・フォー・ドリーム」「レスラー」のダーレン・アロノフスキー監督が、野心と嫉妬渦巻くバレエの世界を舞台に描く異色の心理スリラー。バレエに全てを捧げるヒロインが新プリマの座をめぐり、自分とは対照的で勝気な新人ダンサーをはじめ熾烈な競争を繰り広げる中、次第に精神的に追いつめられていく姿をスリリングに描き出す。主演は、その迫真の演技が絶賛され、みごと自身初となるアカデミー賞主演女優賞にも輝いたナタリー・ポートマン。共演にヴァンサン・カッセルミラ・クニスウィノナ・ライダー
 ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナは、元ダンサーの母親の期待を一身に背負い、バレエに全てを捧げて厳しいレッスンに励む日々。そんな彼女に、バレエ人生最大のチャンスが訪れる。長年バレエ団の象徴的存在だったプリマ・バレリーナ、ベスの引退を受け、新作の『白鳥の湖』のプリマにニナが抜擢されたのだ。しかし、白鳥の湖では純真な白鳥役と同時に、奔放で邪悪な黒鳥役も演じなければならない。優等生タイプのニナにとって、魔性の黒鳥を踊れるかが大きな試練として立ちはだかる。対照的に、官能的にして大胆不敵な踊りで、芸術監督のルロイに理想的な黒鳥と言わしめた新人ダンサーのリリー。彼女の台頭によって、不安と焦りが極限まで高まってしまうニナだったが…。(allcinema)
 
2010年 アメリ
原題:BLACK SWAN
 
純白の野心は、
やがて漆黒の狂気に変わる…
 
監督: ダーレン・アロノフスキー 
製作: マイク・メダヴォイ  アーノルド・W・メッサー  ブライアン・オリヴァー  スコット・フランクリン 
製作総指揮: ブラッドリー・J・フィッシャー  アリ・ハンデル  タイラー・トンプソン 
             ピーター・フラックマン  リック・シュウォーツ  ジョン・アヴネット 
原案: アンドレス・ハインツ 
脚本: マーク・ヘイマン  アンドレス・ハインツ  ジョン・マクラフリン 
撮影: マシュー・リバティーク 
視覚効果監修: ダン・シュレッカー 
プロダクションデザイン: テレーズ・デプレス 
衣装デザイン: エイミー・ウェストコット 
編集: アンドリュー・ワイスブラム 
振付: バンジャマン・ミルピエ 
音楽: クリント・マンセル 
音楽監修: ジム・ブラック  ゲイブ・ヒルファー 
出演: ナタリー・ポートマン ニナ・セイヤーズ
       ヴァンサン・カッセル トーマス・ルロイ
       ミラ・クニス リリー
       バーバラ・ハーシー エリカ・セイヤーズ
       ウィノナ・ライダー ベス・マッキンタイア
       バンジャマン・ミルピエ 
       クセニア・ソロ 
       クリスティーナ・アナパウ 
       ジャネット・モンゴメリー 
       セバスチャン・スタン 
       トビー・ヘミングウェイ 
 
公開から2週間。ようやく観に行ってきました。
 
アカデミー賞主演女優賞を受賞したナタリー・ポートマン
受賞は納得の、迫力ある演技で圧倒されてきました。
 
 
白鳥は完ぺき。白鳥だけなら君が主役だ。
だが、黒鳥はだめだ。
と言われたニナ。
それでも最初は仕方ないと思っていたようです。
そのくらい真面目で繊細で、臆病な女性でした。
振付師のトマに誘われてもどこかおどおどして、処女?と尋ねられるくらい。

そのニナに少しずつ変化が起こります。
ニナは全てのものに敏感で感じやすく、全てを受け止めようとしてしまう。
そういうタイプの女性だったようです。
 
超過保護な、元ダンサーの母親。
憧れていた先輩ダンサーの引退。
そして突如現れた、自信家で奔放なダンサー、リリー。
芸術の世界ですから、他人を押しのけても、という強い思いを持った人間の集団にいて、
ニナはあまりに繊細過ぎたのです。
 
白鳥は良いけど黒鳥はだめだと言われ、真面目なニナはそれを正面から受け止め、
多分元々心が弱い女性だったのでしょう。
自傷行為を続けていたことは、母親との会話で表わされています。
そんなニナは、完壁であることを望み、完璧を目指し、
そして自分を追い込んでいく…。
 
現実と妄想の入り混じった世界。
どこまでが現実なのか、ニナと同じ世界にいるような錯覚を覚えます。
 
物語としては特にサプライズがあるわけではなく、
こういう世界にありがちな展開だし、結末もさほど驚くべきものではありません。
とにかく、ナタリーの演技が全てです。
 
純粋な白鳥の部分に垣間見える黒鳥の激しさ。
白鳥の脆さ…。
狂気の表情。
大いに感動した、濃密な時間でした。
 
ニナと対照的で奔放なリリーを演じたミラ・クニスも素晴らしい。
良く似たふたりなんだけど、とても挑発的な目が印象的でした。

ただ残念だったのは、アップの映像ばかりで、引きのシーンが少ないこと。
ナタリーがこれだけ頑張って踊っているのに、それを見せる部分が少ないんです。
白鳥から黒鳥、そして失意の白鳥まで…。
観客と一緒に拍手するほどの感動がほしかったです。