クロッシング

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 「トレーニング デイ」のアントワーン・フークア監督が、リチャード・ギアイーサン・ホークドン・チードルの3人を主演に迎えて描く緊迫の刑事ドラマ。ブルックリンの犯罪多発地区で危険と隣り合わせの過酷な日常を送る3人の警官たちの三者三様の苦悩が、リアルかつ緊張感溢れるタッチで綴られてゆく。共演はウェズリー・スナイプスウィル・パットンエレン・バーキン
 ニューヨーク、ブルックリンの低所得者層が暮らす犯罪多発地区。ここで、警官による強盗事件が発生する。マスコミの非難にさらされたニューヨーク市警では、犯罪の取締り強化でイメージの回復を狙う。そんな中、ベテラン警官のエディは定年退職を1週間後に控えていた。日々を無難にやり過ごすことだけを考えて警官人生を送ってきた彼だったが、最後の任務として犯罪多発地区での新人研修を任されることに。信心深く子だくさんの麻薬捜査官、サル。愛する家族のためにどうしても広い新居が必要になるが、彼の薄給ではとうてい資金の工面などできるわけもなかった。長年ギャングへの潜入捜査を続けているタンゴ。もはや結婚生活もボロボロで、捜査から抜けたいと上司に願い出る。ところが、そんなタンゴに、彼の命の恩人でもあるギャングのボス、キャズに対するおとり捜査というさらなる過酷な任務が課せられる。(allcinema)
 
2009年 アメリ
原題:BROOKLYN'S FINEST
 
3人の刑事。1つの事件。
それぞれの正義が交錯する──。
 
監督: アントワーン・フークア 
製作: ジョン・トンプソン  エリー・コーン  ジョン・ラングレイ 
       ベイジル・イヴァニク  アヴィ・ラーナー 
製作総指揮: アントワーン・フークア  ダニー・ディムボート  トレヴァー・ショート 
             ボアズ・デヴィッドソン  ロバート・グリーンハット  メアリー・ヴィオラ  ジェシーケネディ 
脚本: マイケル・C・マーティン 
撮影: パトリック・ムルギア 
プロダクションデザイン: テレーズ・デプレス 
衣装デザイン: ジュリエット・ポルクサ 
編集: バーバラ・タリヴァー 
音楽: マーセロ・ザーヴォス 
出演: リチャード・ギア エディ
       イーサン・ホーク サル
       ドン・チードル タンゴ
       ウェズリー・スナイプス キャズ
       ウィル・パットン ホバーツ副署長
       エレン・バーキン スミス捜査官
       ヴィンセント・ドノフリオ 
       ブライアン・F・オバーン 
       マイケル・ケネス・ウィリアムズ 
       リリ・テイラー 
       シャノン・ケイン 
       ワス・スティーヴンス 
       アルマンド・リスコ 
 
麻薬捜査官のサル。
愛妻の病気から、新しい家に移りたいが、それには頭金が必要。
でもそんな大金はなく、仕事を利用して金を手に入れようとする。
たとえ家族を守りたいからとはいえ、犯罪に関わる金に手をつけることが良いことではないと
誰もが分かるわけです。
それでも痛いほどにサルの必死さが伝わるんです。
 
潜入捜査を続けるタンゴ。
自分の家族と自分自身を守るために、捜査から抜けることを訴えるが、
昇進のために最後の任務を与えられる。
ギャングとはいえ、自分の恩人を売ることなんてできない。
それは潜入捜査を続けていることのリスクなのかもしれません。
警察官としての自分と、人としての自分の間で迷い続けた結果…。
妻からも離婚を切りだされ、現実の世界で守るものが無くなったと感じた結果だったのでしょうか。

定年退職を控えたベテラン警官のエディ。
無難に過ごしてきた彼に、新人研修が最後の任務として与えられた。
他の二人とは違って、必死さは感じられません。
一週間後には定年で、その後は好きな女と遠くで暮らそう、なんて考えていました。
それでも沁みついた警察官魂で、最後には犯罪を解決してしまうのです。
現場から立ち去るエディに、清々しさはありません。
虚しさ…とでもいうんでしょうか。
事件を解決しても、失くしたものが大きかったのか…。

同じ警察官でも部署も違う三人は、到底交わることはなかったのすが、
展開としてはどこかで結びつくはず、どこかで交わるはず、と思っていました。
でも、それは期待外れというか…。
というか、それを狙ったような巧みな展開です。
 
気がつけば、三つの物語を見せられていたのです。
警官でありながら、人として苦悩する三人の境遇がとてもよく描かれていました。

三人を容赦なく襲う、過酷な現実。
サルは家族を守るため、
タンゴは恩人を守るため、
エディは警官としての名誉を守るため。
それぞれが守ろうとして選んだ道で、三人が交わるのです。
 
変に先読みせずに、流れを追いかけているうちに辿り着いたラスト。
それは「あ!」と声が出てしまったほどの衝撃でした。

警官として正しい選択だったのか、なんて論点ではなく、
かといって何らかの感想があるというのではなく、
しばらく無言になってしまう作品でした。