J・エドガー (2011)

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初代FBI長官ジョン・エドガー・フーバーの生涯を、クリント・イーストウッド監督、レオナルド・ディカプリオ主演で映画化した伝記ドラマ。20代でFBIの前身組織の長官となって以来、死ぬまでFBIのトップに君臨し続け、歴代の大統領さえ手出しできない強大な権力を築き上げていく一方、私生活ではごく一部の人間以外には決して心を許さず秘密主義を貫いた男の実像を丁寧な筆致で描き出していく。共演はナオミ・ワッツアーミー・ハマージュディ・デンチ
 人生の終盤に差し掛かったFBI長官J・E・フーバー。彼は回顧録の作成にとりかかり、部下に書き取りを命じて語り出す。1919年、司法省に勤務していたフーバーは、長官の目に留まり、新設された急進派対策課を任される。これを機に、秘書室のヘレンにプロポーズするが断られてしまう。それでもフーバーは、彼女を個人秘書として生涯にわたって雇い続けることに。その後、FBIの前身である司法省捜査局の長官代行となったフーバーは、片腕となるクライド・トルソンと秘書のヘレンだけを信頼し、自らの信じる正義を実現すべく、捜査の近代化と権力の集中を進めていくのだが…。(allcinema)
 
2011年
原題:J. EDGAR
上映時間 137分
製作国 アメリ
 
だれよりも恐れられ、だれよりも崇められた男。
 
監督: クリント・イーストウッド 
製作: ブライアン・グレイザー  ロバート・ロレンツ  クリント・イーストウッド 
製作総指揮: ティム・ムーア  エリカ・ハギンズ 
脚本: ダスティン・ランス・ブラック 
撮影: トム・スターン 
プロダクションデザイン: ジェームズ・J・ムラカミ 
衣装デザイン: デボラ・ホッパー 
編集: ジョエル・コックス  ゲイリー・D・ローチ 
出演: レオナルド・ディカプリオ J・エドガー・フーバー
       ナオミ・ワッツ ヘレン・ギャンディ
       アーミー・ハマー クライド・トルソン
       ジョシュ・ルーカス チャールズ・リンドバーグ
       ジュディ・デンチ アニー・フーバー
       エド・ウェストウィック       デイモン・ヘリマン 
       スティーヴン・ルート         ジェフリー・ドノヴァン 
       ケン・ハワード               ジョシュ・ハミルトン 
       ジェフリー・ピアソン         ジェシカ・ヘクト 
 
イーストウッド監督作品は見逃せませんね。
今回はかなり骨太な仕上がりでした。
 
冒頭からレオ君の老け顔に驚かされます。
回顧録を作成しようとしているフーバーが、その為に自分の人生を振り返るような作りです。
司法省に努める若きフーバー。
共産主義者を排除し、新しい組織を作ろうと奔走します。
アメリカの英雄、リンドバーグの息子が誘拐されたことが大きなきっかけでした。
州をまたぐ捜査に限界を感じるのです。
 
そのそばには、秘書のミス・ガンディと片腕となって行くトルソンがいました。
彼らふたりと、母親しか信頼しないフーバーは、
人間的には欠陥が多い人物だったのかもしれません。
それでも、捜査に関しては信念の人でした。
 
フーバーがはたしてこのような人物だったのかどうかはわかりません。
トルソンへの友情は愛情だったかもしれないし、
母親への愛情から女装壁があったのかもしれないし…。
そういうプライベートは分かりませんが、
FBIを作るための強い意志は感じさせます。
 
歴代の大統領が恐れたのは、極秘文書が存在だったようですが、
人種差別主義者だったり、かなり過激な思想の持ち主だったようです。
だからこそ、頂点に登りつめ、維持できたのかもしれませんね。

共産主義からギャングの時代に移り、
ジョニーが主演した【パブリック・エネミーズ】と重なります。
耳にした名前が何人も出てきて、
デリンジャーを殺したパービス捜査官の後日談は興味深かったです。

回顧録は誇張されていて、それをトルソンの指摘されるんですが、
こういう人でさえ、自分を美化したいんだ。
とても弱い人だったのかなと思わせます。
弱さから、限られた人しか信頼しなかったんだと想像します。

フーバーと言う人物を、偉大な人物として崇める描き方ではなく、
もしかしたらこんな人だったのかも、という描き方が興味深かったです。
アメリカでは、フーバーって初代FBI長官としてヒーローなんでしょうか…。

レオ君の老け顔は、もしかしたらこうなる?と思えるんですけど、
声が若々しいままで残念でした。
 
トルソンを演じたアーミー・ハマー
体格も良くてセンスも良くて…。
フーバーがそばに置きたかった理由のひとつかもしれませんが、よく似合っていました。
ふたりは生涯を通して強いきずなで結ばれていました。
 
秘書のミス・ガンディと言い、ひとつの仕事に生涯を賭けるって凄いです。
そういう人たちがいて、現在のアメリカがあるのでしょうね。
 
心を動かされるほどの感動はありませんでしたが、
一人の男の生き様に、作り手の愛着を感じる作品でした。