マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 (2011)

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 主演のメリル・ストリープがみごとアカデミー主演女優賞を獲得した伝記ドラマ。男勝りの決断力とリーダーシップで“鉄の女”の異名をとった英国初の女性首相マーガレット・サッチャーの人生と知られざる素顔を家族との関わりを軸に描き出していく。共演は「アイリス」「家族の庭」のジム・ブロードベント。監督は「マンマ・ミーア!」のフィリダ・ロイド
 孤独な晩年を送る86歳のマーガレット・サッチャー。すでに他界した夫デニスの幻想を相手にしてしまうこともしばしば。そんな彼女は、ふと自らの人生を振り返る。市長も務めた父の影響で政治家を志すようになったマーガレットは、やがて下院議員選挙に立候補するがあえなく落選。失意の彼女を実業家のデニス・サッチャーが優しく励まし2人は結婚。子どもにも恵まれ、幸せな家庭を築くが、政治への意欲を失わないマーガレットは、ついに下院議員への当選を果たす。男たちが支配してきた世界に飛び込んだマーガレットは、様々な困難に強靱な意志で立ち向かい、着々と政界での地位を高めていくのだが…。(allcinema)
 
2011年
原題:THE IRON LADY
上映時間 105分
製作国 イギリス
 
世界を変えたのは、妻であり、母であり、ひとりの女性だった。
 
国史上初の女性首相の栄光と挫折、そして最愛の夫との感動の物語。

監督: フィリダ・ロイド 
製作: ダミアン・ジョーンズ 
製作総指揮: フランソワ・イヴェルネル  キャメロン・マクラッケン  テッサ・ロス  アダム・クーリック 
脚本: アビ・モーガン 
撮影: エリオット・デイヴィス 
プロダクションデザイン: サイモン・エリオット 
衣装デザイン: コンソラータ・ボイル 
編集: ジャスティン・ライト 
音楽: トーマス・ニューマン 
出演: メリル・ストリープ マーガレット・サッチャー              ジム・ブロードベント デニス・サッチャー
       オリヴィア・コールマン キャロル・サッチャー              ロジャー・アラム ゴードン・リース
       スーザン・ブラウン ジューン                                  ニック・ダニング ジム・プライアー
       ニコラス・ファレル エアリー・ニーブ                         イアン・グレンルフレッド・ロバーツ
       リチャード・E・グラント マイケル・ヘーゼルタイ           アンソニー・ヘッド ジェフリー・ハウ
       ハリー・ロイド 若き日のデニス                               アレクサンドラ・ローチ 若き日のマーガレット
       マイケル・マロニー       ピップ・トレンス    ジュリアン・ワダム     アンガス・ライト 
 
 
少々遅くなりましたが、ようやく鑑賞してきました。
アカデミー主演女優賞を獲ったメリル・ストリープが観たかったんですが、
大満足でした!
絶世の美女と言うわけではないメリルですが、女優さんとしてはとても魅力的ですよね。
 
伝記なので、内容としては事実を追って行っただけですけど、
そのマーガレットの人生の中で、
彼女がその時その時何を考えていたのかを知ることができます。
 
食料品店を営む父親は、市長も務めた政治家でもあったわけで、
マーガレットはその父親の血を受け継いでいました。
父親のことは尊敬しただろうけど、
夫のためにお茶を入れたり、ひとりで洗い物をする母親のことは、
ああはなりたくないと思っていたようです。
その時点で、マーガレットは男性的な性格だったんだろうと思わせます。
 
女性ながらに政治の世界に身を置いたわけだし、
女性初のての首相になったわけだし、どんなに大変だったか、容易に想像できます。
男どもは 女が何を言う、と嘲笑う。
それがどんなに良い意見だとしても…。
 
今作では、政治家マーガレット・サッチャーの部分はあまり多く語られていません。
マーガレットが一人の女性として愛した夫、デニスとの関係が中心でした。
すでに亡くなっているデニスの遺品整理ができず、デニスの幻想と暮らす日々。
それはマーガレットに認知症の症状が出ていることは明らかなんだけど、
政治家としての彼女に、夫との普通の生活はなかったはずです。
もしかしてそのことを悔いているのか…。
 
どうしてマーガレットがデニスにそこまで囚われてしまったのか。
想像の域を出ません。
全体を通してマーガレットに感情移入する部分はなく、
客観的に物語を追って行ったという状態でした。
 
で、何が良かったかって、それはやはりメリルでしょう。
主演女優賞を獲っただけのことはありました。
冒頭から驚かされるのは、年老いたマーガレットの姿。
同じくアカデミー賞を受賞したメイクですけど、その技術は素晴らしい。
…申し訳ないけど【J.エドガー】のレオ君は完敗ですね(^^ゞ
 
ただ、技術はどれだけ素晴らしくても、
話し方も立ち居振る舞いも、それはメリル自身だし、
記憶の奥にある本物のサッチャー首相が、今後メリルのサッチャー首相になってしまうかも、
と思ってしまうくらい…。
 
年老いたマーガレットと、首相時代の凛とした姿と、
その演じ分けもさすがとした言いようがない。
 
とはいえ、若き日のマーガレットとデニスを演じたふたりも、良かったんですよね~。
 
幻想のデニスを見送るマーガレット。
待って!一人になってしまう!と叫ぶ声に、
今までもそうやって生きて来たじゃないか。と言って去って行くデニス。
このセリフ。
You were always happy という英文じゃなかったかな。
直訳した方がしっくりいきませんか?
 
メリルの演技とメイク技術は観る価値ありの作品と言えるでしょう(^^)