ヘルプ ~心がつなぐストーリー~ (2011)

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 キャスリン・ストケットの全米ベストセラーを映画化した感動のヒューマン・ドラマ。人種差別意識が根強く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、勇気ある行動で世の中に大きな波紋を投げかけた作家志望の若い白人女性とメイドとして働く黒人女性たちとの友情の軌跡を綴る。主演は「小悪魔はなぜモテる?!」のエマ・ストーン、共演にヴィオラ・デイヴィスオクタヴィア・スペンサージェシカ・チャステインブライス・ダラス・ハワード。監督は原作者とは同じ南部出身の幼なじみで、これが長編2作目の新鋭テイト・テイラー
 アメリカ南部、ミシシッピ州ジャクソン。上流階級に生まれ、黒人メイドに育てられた白人女性スキーター。作家志望の彼女は大学卒業後、地元の新聞社で家事に関するコラムの代筆を担当することに。しかし家事に疎い彼女は、友人宅のベテラン黒人メイド、エイビリーンに相談する。話を聞くうち、彼女たちが置かれた立場に違和感を覚え始める。そして、黒人メイドたちの証言を集めて本にしようと思い立つ。ところがエイビリーンは、黒人が真実を口にするようなことがあれば、この町では生きていけなくなると、取材を頑なに拒否するのだが…。(allcinema)
 
2011年
原題:THE HELP
上映時間 146分
製作国 アメリ
 
彼女たちの物語が、私を変える。私の物語が、世界を変える。
 
監督: テイト・テイラー 
製作: ブランソン・グリーン  クリス・コロンバス  マイケル・バーナサン 
製作総指揮: マーク・ラドクリフ  L・ディーン・ジョーンズ・Jr  ジェフ・スコール 
原作: キャスリン・ストケット  『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(集英社刊)
脚本: テイト・テイラー 
撮影: スティーヴン・ゴールドブラット 
プロダクションデザイン: マーク・リッカー 
衣装デザイン: シャレン・デイヴィス 
編集: ヒューズ・ウィンボーン 
出演: エマ・ストーン スキーター                ヴィオラ・デイヴィス エイビリーン
       オクタヴィア・スペンサー ミニー          ブライス・ダラス・ハワード ヒリー
       ジェシカ・チャステイン シーリア          アリソン・ジャネイ シャーロット
       シシー・スペイセク ミセス・ウォルターズ  シシリー・タイソン コンスタンティン
       メアリー・スティーンバージェン ミス・スタイン 
 
 
1960年代といえは、まだそんなに昔々の話ではないけど、
人種差別がはっきりと残っていたんだと実感させられるお話。

黒人の“HELP”と呼ばれるメイドがいる上流階級社会。
燃費の悪そうな大きな車に乗って、広大な土地とたくさんの部屋がある屋敷に住んで、
裾が膨らんだワンピースを着て、お仲間たちと慈善活動や資金集めのパーティに忙しい。
そんな女性たちに使える黒人女性は、住む場所は決められ、仕事と言えばメイドしかなくて、
自分が育てた子供が成人すると、今度はその子供に使えることになる…。

なんと対照的な社会でしょうか。
 
そこに登場するのが、大学を卒業して地元に帰ってきた、
ジャーナリスト志望のスキーター。
彼女は、自身もそういう社会に暮らしながら、
人種差別が残る地元に疑問を持ち、それをネタに本を出版しようとします。
 
中々本音を話さない黒人女性たち。
彼女たちにもそれぞれに暮らしがあって、それを乱されたくない。
 
何より“視線が怖い”
 
ところが、それぞれに長年貯まった思いが、はけ口を求めてスキーターに協力を申し出ます。
時代が変わるとき、動く時ってこんな風にある日突然やって来るんでしょうね。
 
本が完成し、何かが変わるのか。
それはここでは描かれていませんが、歴史が物語っていますよね。
黒人のメイドはいませんし、現在のアメリカの大統領が黒人ですもの!

人種差別を取り上げてはいますが、
例えば、そういう人種差別社会を知らない私達に置き換えても、
共感できる部分はあるのではないでしょうか。
 
例えば健康な人とそうでない人。
例えば学歴の高い人とそうでない人。
差別する人と差別される人がいる社会。
つまりは謙虚さを持たない人間の愚かさとして感じることができました。
 
それともうひとつ。数の優位。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」なんてありましたけどね。
スキーターの母親が年老いたメイドを解雇した状況に強く感じました。
自分の意思より、周囲の視線が怖くて群れでつるむことを止められない。
スキーターの友人達も、その多くは事実から目を背け群れることで安心している。
 
一人でいることの難しさ。
それを選んだスキーターと証言を始めたエイブリーンや、
ミニーの強さと、同じ方向へ歩む友情。
 
そんなとても深刻で重いテーマを、コミカルな表現を加えて描いています。
お涙ちょうだいものではないけど、知らずに泣かされてしまう…そんな場面も多い。
 
どの登場人物も活き活きと描かれ、
特にはっきりものを言うミニーの存在は爽快でした。
演じたオクタヴィア・スペンサーアカデミー賞受賞は納得です。
 
長いなと思ったら2時間越え。
でも、どのシーンも退屈させない充実した仕上がりです。
 
もしかしたら男性向きではないかもしれないけど、
…作品の中でも、男性はほとんど描かれていません(^^ゞ
でも、多くの人に観てほしい。そう思う作品です。