再会の食卓

　「トゥヤーの結婚」のワン・チュアンアン監督が、中台分断で離れ離れとなった元夫婦の40年ぶりの再会を綴った感動ドラマ。歴史に翻弄された元夫と元妻、さらには２人の再会を複雑な思いで受け止める妻側の現在の夫と子どもたち、それぞれの心情を繊細かつ優しい眼差しで描き出していく。ベルリン国際映画祭でみごと銀熊賞（最優秀脚本賞）を受賞。出演はリサ・ルー、リン・フォン、シュー・ツァイゲン。
　上海で暮らす玉娥（ユィアー）のもとに、ある日一通の手紙が届く。それは、戦争によって生き別れ、逃れた台湾でその後の人生を送ってきた元国民党軍兵士の夫・燕生（イェンション）からのものだった。彼は、40年ぶりに中国に戻り、ユィアーと再会することを願っていた。当のユィアーは、ひとり残され過酷な日々を送っていたときに出会った心優しい男性・善民（シャンミン）と再婚し、今では子どもたち、孫たちに囲まれ平穏な日々を送っていた。そんなユィアーの家族たちにとって、イェンションの突然の来訪は少なからぬ戸惑いをもたらす。それでも優しいシャンミンは、イェンションを精一杯のもてなしで迎えるが…。(allcinema)

 

2010年
原題：APART TOGETHER

 

上映時間 96分
製作国 中国

 

40年後の再会も、いつもの食卓から　はじめよう。
 

監督： ワン・チュアンアン 
製作総指揮： リサ・ルー   ピーター・ドナー 
脚本： ワン・チュアンアン   ナ・ジン 
撮影： ルッツ・ライテマイヤー 
音楽： マー・ペン 
出演： リサ・ルー ユィアー（玉娥）                           リン・フォン リゥ・イェンション（劉燕生） 
        シュー・ツァイゲン ルー・シャンミン（陸善民）     モニカ・モー ナナ（娜娜）
 

 

中国と台湾の歴史的ないきさつは無知なのですが…。
なので、ちょっと調べてみました。

中台分断。中国共産党と中国国民党との内戦で、勝利した毛沢東が「中華人民共和国」を成立。
破れた国民党の蒋介石が台湾に逃れて「中華民国」の首都を暫定的に台北に移した…。

 

同族民族が分かれてしまう悲劇がここにもあった、と改めて知らされます。

 

この内戦によって別れた夫が40年ぶりに会いに来る。
そう知らせる手紙が届いたことから、普通に暮らしていた家族に亀裂が生じます。

 

生涯会えないと思っていたのではないでしょうか。
そんな夫が会いに来る。
どんな想いなのか、はっきりと語られはしません。

 

元夫・イェンションが会いに来る理由はひとつ。
愛しい妻ユィアーを連れて帰り、再び一緒に暮らしたい。

 

それを分かっていて、今の夫・シャンミンはイェンションをもてなし、
それどころか、イェンションの望むままにユィアーと離婚しようとまでするのです。
イェンションの思いも、本人は何も語りません。

 

互いが互いを思いやり、愛しい人の望みを叶えようとする。
そんな心優しい人たちのお話です。
もちろん、子供たちは穏やかではいられませんが…。

 

激しく感情をぶつけ合うのではないので、見方によれば退屈かもしれませんが、
そんな気持ちにならずに見入ってしまいました。
とにかく、主要な三人が、自分の気持ちを語らないのです。
連れて帰りたい、着いていきたい、そうしてください。
それ以外の言葉がないだけに、本心を探ろうとしてしまったからでしょうか。

 

どんな結論が出ても傷つく人は出てしまうわけで、
誰が悪い、と結論付けることなく終わらせるのも仕方ないかと。

 

家族揃っての食卓。

ありきたりだけど、それが一番の幸せ…。

そうできる世の中の平和…。

 

観終わった後に、そんなことを感じたのでした。