北のカナリアたち (2012)

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 人気作家・湊かなえの連作ミステリー『往復書簡』に収められた短編『二十年後の宿題』を原案とする吉永小百合主演のヒューマン・ミステリー・ドラマ。20年前に北海道の離島で起きたある悲劇の真相と、その出来事によってそれぞれに心に深い傷を抱え、その後の人生にも暗い影を落とすこととなった女性教師と6人の教え子との20年ぶりの再会を重厚な筆致で描き出す。共演陣には柴田恭兵仲村トオル里見浩太朗のベテラン勢に加え、森山未來満島ひかり宮崎あおい松田龍平ら若手実力派キャストが豪華に顔を揃える。監督は「どついたるねん」「大鹿村騒動記」の阪本順治
 夫と共に北海道の離島に降り立った小学校教師の川島はる。この島の小さな分校で6人の生徒を受け持つことになった彼女は、合唱を通じて生徒たちと心を通わせていく。合唱によって自信が芽生えた生徒たちも、以前とは見違えるように明るく楽しい学校生活を送るようになった。そんなある日、海辺でバーベキューを楽しんでいたはると生徒たちを思わぬ悲劇が襲う。これが原因で、はるは島を追われるように去っていき、生徒たちからも歌声は聞かれなくなってしまう。20年後、東京で暮らすはるのもとにその時の教え子の一人が事件を起こしたとの知らせが。はるは真相を知るため、成長した教え子たちとの再会を決意し、北へと向かう。<allcinema>
 
2012年 
上映時間 122分
先生が島を追われた日、私達は歌を捨てた。 
監督: 阪本順治 
プロデューサー: 國松達也  服部紹男 
アソシエイトプロデューサー: 高橋一平 
ラインプロデューサー: 望月政雄  樫崎秀明 
企画: 黒澤満 
原案: 湊かなえ   『二十年後の宿題』(幻冬舎刊『往復書簡』所収)
脚本: 那須真知子 
撮影: 木村大作 
美術: 原田満生 
編集: 普嶋信一 
音楽: 川井郁子 
音楽プロデューサー: 津島玄一 
音楽監督安川午朗 
照明: 杉本崇 
録音: 志満順一 
助監督: 小野寺昭洋 
出演: 吉永小百合 川島はる              柴田恭兵 川島行夫                仲村トオル 阿部英輔
        森山未來 鈴木信人                満島ひかり 戸田真奈美          勝地涼 生島直樹
        宮崎あおい 安藤結花              小池栄子 藤本七重             松田龍平 松田勇
        里見浩太朗 堀田久 
 フリーパスポート8本目
 
吉永小百合さんの作品は、劇場はもちろんのこと、ほとんど観てません。
今回、フリーパスポートのおかげで観ることができました。
 
吉永さんのせいなのか、脚本がそうなのか。
日本語がきちんと会話されてるように感じました。
発音も綺麗。
年齢を感じさせない風貌に、逆に過去と現在の区別は髪型だけのようで
凄いな~と思いながらも、ちょっとした違和感も感じてしまいました。

ミステリーという括りですが、それはどうですしょうかね?
吉永さん扮するはる先生の旦那さんが亡くなったことと、
教え子の自殺未遂と、その辺りのことなんでしょうが、
ミステリーというより、大人の恋愛ドラマと
教え子たちとのヒューマンドラマ、といったほうがいい気がしました。

過去と現在を行きつ戻りつしながら、
はる先生と6人の教え子たちとの間に何があったかを解き明かす手法。
20年経って大人になった教え子たち一人一人に会いながら、
過去の事件の真相が明らかになっていきまます。
 
この大人になった6人を演じるのは、登場順に、
満島ひかり勝地涼宮崎あおい小池栄子松田龍平
そして今回の再会のきっかけになった殺人事件を起こした森山未來
 
この6人。
子供のころも大人になってからも、個性的に描かれています。
特に森山未來は、吃音の激しい青年役を見事に演じていて、
煙突に上るシーンやその雰囲気から、
【ギルバート・ブレイク】のディカプリオくんを思い出していたら、
そう感じたのは私だけではなかったようで、同じコメントをネットで発見しました。
 
はる先生の夫を演じた柴田恭平
この人の存在感は大きかったですね。
癌で余命宣告をされて、島への帰郷。
死への恐怖や妻への愛情の示し方など、見入ってしまいました。
 
 
6人の教え子たちによって過去の悲劇が語られる中、
肝心のはる先生は自分の気持ちを一切語りません。
想像するしかなくて、彼女がどんなふうに夫を愛していたか、
夫以外の人を愛したのか、はる先生の表情が頼りとなります。
 
死への恐怖は、夫本人だけでなく、
妻であるはる先生にもあったのではないだろうか、
そんなことも感じさせます。
 
何があっても生きる。
そんなメッセージをもった作品ではあるけど、メッセージなんてどうでもいい。
とにかく子供たちの歌声と純粋さに感動してしまう作品でした。
 
森山未來演じる信ちゃんとの別れのシーンでは、
ハンカチが必要になってしまいました。
一人じゃないって伝えてあげることの大切さ。
それだけで生きていけるんだよね。

内容としては劇場鑑賞するほどではないかもしれないけど、
冬の大地の過酷さを見事に見せつけた映像は、やっぱり大きなスクリーンで観て正解です。
空と海と…。
それは見事な映像でした。
 
その反面、というか…。
かなり大げさに聞こえたヴァイオリンのフレーズ。
どうなんでしょうね~。
内容がかなりウエットなので、音楽で増長しなくても、と思ったりもしました。
生きることの希望を感じさせるより、過去の悲劇を引きずってしまうように聞こえてしまいました。
その辺が日本映画なのかしらね…。