最終目的地 (2009)

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 日本でも評判を呼んだピーター・キャメロンの同名小説を名匠ジェームズ・アイヴォリー監督が映画化した文芸ドラマ。自殺した作家が残したウルグアイの古い邸宅で、時が止まったかのような静かな生活を送る遺族たちが、作家の伝記執筆の許可を求めて現われたアメリカ人青年の登場によって様々な変化を引き起こしていくさまを、退廃的にしてエキゾチックな雰囲気の中、繊細かつ格調高い筆致で描き出していく。出演はアンソニー・ホプキンスローラ・リニーシャルロット・ゲンズブール、オマー・メトワリー、真田広之
 アメリカの大学院生オマーは、自殺した作家ユルスの伝記を執筆すべく遺族の公認を求めるも、あえなく拒絶されてしまう。しかし恋人に鼓舞され、直接面会して説得するため南米ウルグアイの人里離れた亡き作家の邸宅へと向かう。そこでは作家の妻、作家の愛人とその娘、作家の兄とそのゲイの恋人が奇妙な共同生活を送っていた。さっそく交渉を始めると、兄のアダムからは条件付きながらすんなりと公認を得られた一方、妻のキャロラインには頑なに反対されてしまう。そんな中、作家の愛人アーデンとの距離が急速に縮まっていくオマーだったが…。<allcinema>
 
2009年
原題:THE CITY OF YOUR FINAL DESTINATION
上映時間 117分
製作国 アメリ
あきらめた愛、 忘れてしまった愛、 だけどここで 最後の愛を見つける
監督: ジェームズ・アイヴォリー 
製作: ポール・ブラッドリー  ピエール・プロネル 
製作総指揮: アショク・アムリトラジ  ヴィンセント・マイ  ジェームズ・マーティン  カツヒコ・ヨシダ
原作: ピーター・キャメロン 『最終目的地』(新潮社刊)
脚本: ルース・プラワー・ジャブヴァーラ 
撮影: ハビエル・アギーレサロベ 
プロダクションデザイン: アンドリュー・サンダース 
衣装デザイン: キャロル・ラムジー 
編集: ジョン・デヴィッド・アレン 
音楽: ホルヘ・ドレクスレル 
出演: アンソニー・ホプキンス アダム(作家の兄)           ローラ・リニー キャロライン(作家の妻)
    シャルロット・ゲンズブール アーデン(作家の愛人)
   ノルマ・アレアンドロ       アレクサンドラ・マリア・ララ 
   オマー・メトワリー オマー・ラザギ(若き伝記作家)       真田広之 ピート(アダムのパートナー)
 
大好きな真田さんの作品。
公開を待っていたので、本当に楽しみにしていたけど、
気がついたら年内で終了ということで、久しぶりに通常料金で鑑賞してきました(^^)
 
タイトルから、登場人物の「最終目的地」を描いているのかと思っていたら、
最後まで来て、これは恋愛ドラマだったんだと気づく始末。
そういう目線で観ていたら、もっと違った観方をしていたかも…。
 
自殺した作家の自伝を書きたいオマー。
ただ書くだけではなく、奨学金だか研究費だかをもらうためにも
遺族から公認してもらわなくてはいけない。
手紙では拒否され途方に暮れていたオマーの背中を押したのは、彼の恋人。
直談判しようとウルグアイまで行くことに。
 
この作家の遺族。かなり複雑。
本妻のキャロライン、愛人のアーデンと娘、兄のアダムと彼のパートナーピート。
妻妾同居ってどうなのよ、とそれだけで驚きなのに、
兄のアダムとゲイのパートナーまでいるんだもん…(^^ゞ
 
それぞれに抱えた事情が、少しずつ明らかに。
中でも、頑なまでに自伝の執筆を拒む妻の姿が印象的。
留まったまま身動きできない様が、ローラ・リニーによってより深さを感じます。
妾のアーデンは、キャロラインより若い分、動き出す力も持っているのかも。
アメリカからやってきた若いオマーに少しずつ惹かれていく。
オマー自身も、恋人とは違うタイプにアーデンに惹かれていく。
公認を得るために説得するはずが、オマーにも変化が見え始めます。
 
兄のアダムは、年長者らしく家族を見守っていたけど、
やっぱりオマーの出現で動き出します。家族を縛るものから解放しようと…。
キャロラインたちのこともそうだけど、
何より自分のパートナーであるピートに対して、彼を独立させようとするんですよね。
自分の年齢のこともあるんだろうなあ。
もっと自分の幸せを考えなさいと、ピートを諭すシーンは優しい…。
 
念願の真田さんは、ゲイの役なんだけど、
アンソニー・ホプキンスを相手に、本当に自然に演じてるなと感じます。
気負いがなくなったような…。
ゲイのシーンというより、人として愛し合う姿はほほえましい(*^_^*)
 
オマーの恋人、実は苦手なタイプで、いやな女だな~と思っていました。
恋人を支えている、愛しているといいながら、
自分の優位さを示している感じがあって、こんなんじゃ男は離れていくよ。
と思っていたら、案の定…。
 
でもその恋人と、妻としての立場から解放されたキャロラインの再会のシーンは、
二人とも別人のようで綺麗だったな~。
本来の自分の生きる場所を見つけた幸せが漂っていたし、
過去から解き放たれた、アーデンとオマーの生きる場所、
アダムとピートの生きる場所が見つかったのはほっとしました。
 
それが最終目的地なのかはわからないけど、
新しい場所へ踏み出した人たちの、幸せを感じるラストです。