小川の辺

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 藤沢周平の同名短編を、「山桜」に続いての顔合わせとなる東山紀之主演、篠原哲雄監督で映画化。藩命を受け、妹の夫である親友を斬らねばならなくなった下級武士の過酷な運命を静謐に描く。共演は「バベル」の菊地凛子勝地涼片岡愛之助
 ある日、直心流の遣い手である海坂藩の下級武士・戊井朔之助に、藩政を批判して脱藩した佐久間森衛を討つよう藩命が下る。しかし、佐久間は妹・田鶴の夫。しかも、佐久間の批判は民を思えばこその正論だった。そして、揺れる朔之助にとって何よりも気がかりなことは、気の強い田鶴が、必ずや手向かってくるに違いないこと。場合によっては妹も斬らねばならないと覚悟する朔之助。彼は、そんな田鶴を秘かに想い続けていた奉公人の新蔵を伴い、佐久間討伐へと旅立つのだが…。<allcinema>
 
2011年
上映時間 104分
愛する人を 斬ることなど、出来るのか。
監督:篠原哲雄 
製作:川城和実 遠藤茂行 福原英行 木下直哉 大芝賢二 鈴木道男 小滝祥平  黒澤洋介 園部実 
       岡正和 谷徳彦 阿部和夫 高橋文夫 吉村和文 
原作:藤沢周平小川の辺
脚本:長谷川康夫 飯田健三郎 
撮影:柴主高秀 
美術:金田克美 
編集:奥原好幸 
音楽:武部聡志 
照明:長田達也 
装飾:大坂和美 
録音:武進 
出演:東山紀之   戊井朔之助      菊地凛子   田鶴
    勝地涼        新蔵            片岡愛之助  佐久間森衛
    尾野真千子  幾久            松原智恵子  以瀬
    笹野高史    助川権之丞      西岡徳馬   鹿沢堯伯
    藤竜也       戊井忠左衛門
 
ヒガシくんは本当にいい男になりましたね~。
こんなに時代劇が似合う俳優さんになるとは…(^^)
山桜はもう一つツボにはまらなかったんですが、こちらは良かったです。
 
妹の夫を、藩命で討たねばならなくなった朔之助の心中が、
無駄な台詞を省いて、表情や風景で感じさせる演出で、
より浮き出ていたように感じました。
 
ヒガシくんがかっこいいのはもちろんだけど、
戌井家の奉公人の新蔵を演じた勝地涼が、純朴な青年役にぴったりでした。
幼いころから朔之助、田鶴兄妹と遊んできた新蔵は、
ずっと田鶴を慕っていた。というのがよく伝わり、
その田鶴が、夫を討てばその仇打ちに、兄に向って斬りつけてくるだろうと想像して、
何とかそれを避けようと立ち回るんです。
いじらしいというか…。
その想いが報われるラストは、なんと清々しいことか。
 
藩命で命を落とした田鶴の夫、佐久間には申し訳ないけど、
結局初恋物語だったのね、と思わずにはいられませんでした。
 
男二人はもちろんのこと、
民衆のことを思って、城主に楯ついた佐久間を演じた片岡愛之助さんも
やっぱり歌舞伎界の方は時代劇は似合ってるし、
朔之助との立ち合いのシーンは見ごたえあります。
 
残念だったのは、田鶴を演じた菊池凛子
なんというのか…。
彼女だったから裸のシーンかなあ、なんて突飛な感じだったし、
カツラも似合ってない気が…(^^ゞ
何より、時代劇の雰囲気に溶け込んでないんですよね~。
最終的には藩命で苦悩する下級武士を描いたものというより、
淡い初恋物語になってしまったので、
田鶴役がもっと魅力的な人だったら、と思ったりしました。
 
兄に劣らぬ剣の腕前、という設定での立ち合いは頑張ってましたけどね~。
 
そういう方向で落ち着いた結末に、
男同士の骨太さを求めると、肩すかしをくらうかもしれません(^^)