ゼロ・ダーク・サーティ (2012)

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 「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督&マーク・ボール脚本コンビが、米海軍特殊部隊“ネイビー・シールズ”によって遂行されたオサマ・ビンラディン暗殺をめぐる驚愕の舞台裏を、ビンラディン追跡で中心的役割を担ったCIAの若い女性分析官を主人公に描き出した衝撃の問題作。当事者たちへの入念な取材によって明らかとなったリアルな追跡作戦の行方をスリリングに描くとともに、10年にわたる勝者のない戦いの果てに辿り着いたアメリカのいまを見つめる。主演は「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」「ツリー・オブ・ライフ」のジェシカ・チャステイン
 巨額の予算をつぎ込みながらも一向にビンラディンの行方を掴めずにいたCIA。そんな手詰まり感の漂うビンラディン追跡チームに、情報収集と分析能力を買われたまだ20代半ばの小柄な女性分析官マヤが抜擢される。さっそくCIAのパキスタン支局へ飛んだ彼女だったが、取り調べの過酷な現実に戸惑いを見せる。そんなマヤの奮闘もむなしく捜査は依然困難を極め、その間にもアルカイダによるテロで多くの命が失われていく。そしてついに、マヤの同僚ジェシカがテロの犠牲になってしまう。以来、個人的な感情にも突き動かされ、これまで以上にビンラディン追跡に執念を燃やしていくマヤだったが…。<allcinema>
2012年
原題:ZERO DARK THIRTY
上映時間 158分
製作国 アメリ
ビンラディンを追い詰めたのは、ひとりの女性だった――
<9.11>から10年――
彼女を駆り立てたのは、使命か、執念か。
監督: キャスリン・ビグロー 
製作: キャスリン・ビグロー マーク・ボール ミーガン・エリソン 
製作総指揮: コリン・ウィルソン テッド・シッパー グレッグ・シャピロ 
脚本: マーク・ボール 
撮影: グリーグ・フレイザー 
プロダクションデザイン: ジェレミー・ヒンデル 
衣装デザイン: ジョージ・L・リトル 
編集: ウィリアム・ゴールデンバーグ ディラン・ティチェナー 
音楽: アレクサンドル・デプラ 
出演: ジェシカ・チャステイン      マヤ
    ジェイソン・クラーク        ダニエル
    ジョエル・エドガートン      パトリック
    ジェニファー・イーリー      ジェシ
    マーク・ストロング         ジョージ
    カイル・チャンドラー        ジョセフ・ブラッドリー
    エドガー・ラミレス         ラリー
    ジェームズ・ガンドルフィーニ  CIA長官
 
アカデミー賞作品賞と、主演女優賞候補作品です。
158分という長尺だし、内容が内容なだけに、心身ともに消耗することを予想しての観賞でした。
 
観終わってまず感じたのは、面白かったということ。
でもそれは、娯楽作品を観た後の面白さとは違います。
映画として、惹きつける力の大きさを感じさせられるし、
内容も深くて考えさせられました。
 
冒頭。
スクリーンは何も映し出さずに、9.11当時の会話が流れます。
聞いているだけで苦しくなる、いたたまれなくなる会話の応酬。
ここから始まるということを表していたのでしょう。

テロリストを憎みたくなるシーンは、それ以外にもあちこちに挿入されています。
イギリスで起こったバスの爆発事件は記憶がありました。
 
 
主人公のCIA分析官のマヤは、虐待を伴う取り調べに対しも決して目を背けない、
ただひたすらビンラディンの捕縛に向かう、感情を露わにしない女性。
それが、同僚が現場を去り、その後仲間を自爆テロで亡くし、
憔悴しきった様から、動きの鈍い上司に対して怒りをぶちまけたり、
ジェシカ・チャステインの演技が本当に素晴らしかったです。
 
一つずつのエピソードを積み重ねていくだけの作りで、
どこまでが事実で、どこからがフィクションなのかは分からないけど、
多分裏舞台では、こんなことがあったんだろうと思わせてくれます。
決して飽きることなく見せてくれました。
 
ところが、どんどんマヤの個人的な感情が見え始めて、
最終的にはやっぱり報復なんだと思わずにはいられませんでした。
「私のために殺して」
なんて台詞は、どきりとしました。

個人的には、それまでのシーンに比べて、
特殊部隊の突入シーンは興味が湧きませんでした。
ドラマとしての悪役退治なら、拍手喝さいで観られるんでしょうけど、
やっぱり現実ですもんね。
そんなに気持ちのいいものではありませんでした。
 
ビンラディンがいる可能性は60%という中で、
ほんとに作戦が実行されるものなのでしょうか?
かなり違和感がありました。
そのあたりは、もしかしたら公にはできない何かがあるのかもしれません。
 
 
本筋からは逸れますが…。
この特殊部隊が、ブラックホークで作戦を開始するシーンで、
ドラマではない現実を感じて、戦争が身近な国があると今更のように感じました。
軍隊がある国はいくつもあるんですよね。
戦争はドラマじゃない。
いつ自分の身に降りかかるか。
怖いな。
そういう感想も持ったりしましたが。
 
 
ラスト。
職務として遺体を確認したマヤ。
テロを自らの手で終わらせたいというマヤの思いは、達成されたのでしょうか。
18歳からこの仕事一筋だった彼女が、これからどこへ行くのか。
これから何をするのか。
緊張から解放された涙?
目的を失くした涙?
満足感の涙?
 
観る者に問いかける涙でした。