グランド・マスター (2013)

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 「花様年華」「2046」のウォン・カーウァイ監督が、ブルース・リーの師匠としても知られる伝説の武術家・葉問(イップ・マン)の波瀾の人生を圧倒的な映像美とともに描く歴史カンフー・アクション大作。それぞれの流派を極めた長“宗師(グランド・マスター)”たちが、中国拳法の南北統一を巡って繰り広げる激しい抗争の行方と、そんな彼らが戦争という大きな時代の波に翻弄されていく愛と宿命の物語を壮大なスケールで描き出す。主演は「ラスト、コーション」「レッドクリフ」のトニー・レオン、共演にチャン・ツィイーチャン・チェン、マックス・チャン。
 1930年代の中国。北の八卦掌の宗師、宮宝森(ゴン・パオセン)は引退を決意し、生涯をかけた南北統一の使命を託す後継者を探す。第一候補は一番弟子の馬三(マーサン)。一方、パオセンの娘で奥義六十四手をただ一人受け継ぐ宮若梅(ゴン・ルオメイ)も、父の反対を押して後継争いに名乗りを上げる。そんな中、パオセンが指名したのは、南の詠春拳の宗師で人格的にも優れた葉問(イップ・マン)だった。納得のいかないマーサンは、師であるパオセンへの恨みを募らせる。一方、諦めきれないルオメイも、イップ・マンを秘かに呼び出し、みごと八卦掌奥義六十四手で勝利を収めるのだったが…。<allcinema>
グランド・マスター(2013)  原題:一代宗師 THE GRANDMASTER 上映時間 123分 製作国 香港
どれだけ愛を失えば、 頂点に立てるのか。
監督: ウォン・カーウァイ 
製作: ウォン・カーウァイ ジャッキー・パン 
製作総指揮: ソン・ダイ チャン・イー・チェン ミーガン・エリソン 
原案: ウォン・カーウァイ 
脚本: チョウ・ジンジ シュー・ホーフェン ウォン・カーウァイ 
撮影: フィリップ・ル・スール 
プロダクションデザイン: ウィリアム・チャン アルフレッド・ヤウ 
衣装デザイン: ウィリアム・チャン 
編集: ウィリアム・チャン 
音楽: 梅林茂 ナサニエル・メカリー 
武術指導: ユエン・ウーピン 
出演: トニー・レオン 葉問(イップ・マン)
    チャン・ツィイー 宮若梅(ゴン・ルオメイ)
    チャン・チェン 一線天(カミソリ)
    マックス・チャン 馬三(マーサン)
    ワン・チンシアン 宮宝森(ゴン・パオセン)
    ソン・ヘギョ   チャオ・ベンシャン   シャオ・シェンヤン 
    ユエン・ウーピン (特別出演)
    ラウ・カーヨン (特別出演)
    チョン・チーラム (特別出演)
    カン・リー (特別出演)
 
トニー・レオンの作品なので観た。というだけの知識しかなく、
葉問がどんな人なのか、観終わって調べると言う有様。
そんな人間ですが、堪能できました。
 
最初は、トニー以外の人物の区別がつかず、分からないままに進んで行ったんですが、
それでも途中からいろんなことが分かるようになってくると、
どんどん入り込んで行きました。
 
冒頭の雨の中でのカンフーシーンは、お見事!というしかない。
葉問は、複数の敵を相手に、
被った帽子が脱げることもなく倒していきます。
そこでぐっと掴まれます。
その後、中国拳法の南北統一問題に入っていって、少々戸惑うんですけど、
観ているうちにそれが理解できるようになってきます。
 
物語は淡々と進んでいき、
カンフーアクションはそれほど多くはありません。
特に後半は、葉問の人生を語るだけで、
見どころは冒頭のシーンと、宗師の弟子と、娘・ルオメイとのシーンくらいでしょうか。
どちらも、スピード感が素晴らしい。
 
中国拳法の南北統一がメインかと思っていたら、
抗日戦争で屋敷を奪われ貧乏を強いられたり、
予告編で繰り返された、ルオメイとの恋物語は、エピソードのひとつでした。
 
でも、そのふたりの表面に出ない感情がアジア人だなあと思ってしまうのです。
戦いで相手を知り、戦いで愛情を表現しようとする。
何とも奥ゆかしいというか…。
 
そのルオメイに至っても、
女は結婚すべし、子どもを産むべし、という昔ながらの風習にどれほど苦悩したか。
女であるから家を継げないというのは、彼女にとってどれほどの屈辱だったか。
ルオメイ自身の言葉では語られていないけど、それらが伝わってきました。
 
このルオメイを演じたチャン・ツィーイーの美しいこと!
彼女だけではなく、他に登場する女優陣もそうだけど、
今の日本では、こういう色気のある大人の美しさを表現できる人は、
少ないかなと思ってしまいました。
 
トニー・レオンは、こういう感情を表に出さない役はお似合いですね。
というか、それが彼の持ち味かもしれませんが。
育ちの良い葉問をさらりと演じていました。
凄みとか威圧感は表面には出さないけど、強い信念の持ち主ではあったようですね。
それは伝わってきました。
 
波乱万丈の人生だけど、
葉問の、武術家としての人生を印象付けるラストでした。