偽りの人生 (2012)

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 「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」のヴィゴ・モーテンセンが少年時代を過ごした“第二の故郷”アルゼンチンの映画に初参加して贈るヒューマン・サスペンス。人生に閉塞感を感じていた医師が、双子の兄を殺害して彼に成りすましたことから思いがけない運命を辿るさまをスリリングに綴る。監督は本作で商業映画デビューとなるアルゼンチンの女性監督アナ・ピターバーグ。
ブエノスアイレス在住の医師アグスティンは、結婚8年目の妻クラウディアと恵まれた暮らしをしながらも心は満たされず、漠然とした空虚感に苛まれる日々を送っていた。そんなある日、音信不通だった一卵性双生児の兄ペドロの訪問を受ける。ペドロは自分が末期ガンであることを告白し、自分を殺してほしいと懇願する。一度は拒絶するアグスティンだったが、ついに衝動的に殺害してしまう。そして、瓜二つのペドロに成りすまして人生をやり直そうと考える。かくして、ペドロが今も養蜂家として生活していた生まれ故郷のティグレへと舞い戻ったアグスティンだったが…。<allcinema>
2012年 原題:TODOS TENEMOS UN PLAN EVERYBODY HAS A PLAN 上映時間 117分
製作国 アルゼンチン/スペイン/ドイツ
ただ、もう一度だけ、 すべてをやり直したかった――。
監督:アナ・ピターバーグ 
製作:マリエラ・ベスイエフスキー ヘラルド・エレーロ バネッサ・ラゴーネ ヴィゴ・モーテンセン
製作総指揮:マリエラ・ベスイエフスキー バネッサ・ラゴーネ
脚本:アナ・ピターバーグ
撮影:ルシオ・ボネッリ
編集:イレーヌ・ブレクア アレハンドロ・ラサーロ
音楽:ルシオ・ゴドイ フェデリコ・フシド
出演:ヴィゴ・モーテンセン ペドロ/アグスティン
レダ・ビジャミル クラウディア
ダニエル・ファネゴ アドリアン
ハビエル・ゴディーノ ルーペン
ソフィア・ガラ・カスティリオーネ ロサ
オスカル・アレグレ

結局、自分の人生は自分で全うするしかない、ということなのかな。

冒頭。
養蜂を営む男が、それだけでなく犯罪に加担しているという様相を見せ、
その後、殺人事件が起こります。
この殺人事件が最後まで関わってきます。

場面が変わり、街中に住む医師の登場。
先ほどの男とこの医師。どちらもヴィゴなので、あれ?と一瞬戸惑います。

医師のアグスティンの元に、養蜂を営んでいる兄のペドロがやってきて、
物語が動き始めるんだけど…。

医師のアグスティンは、妻も仕事を持つちゃんとした女性で、
理由は分からないけど、養子を取ろうとしている最中。
でも、夫のアグスティンは、自信がないと言って閉籠り。
大の大人が何やってるの!と思ってしまうんだけど、
多分、夫婦で向かい合って話し合ってないんじゃないかと想像します。
奥さんは、はっきりものをいう人だけど、アグスティンは内向的というか…。

その性格だから、自分の気持ちを表すことができず、
突然の兄の来訪に驚き、突発的な行動に出てしまう。
あまり現実的とは言えない選択だけど、
さらに兄に成り済ましてペドロとして暮らそうとする辺りは、更に非現実的。

だって、顔かたちは同じだとしても、
どんな生活を送っているのか、交流がなかったわけだし、
養蜂の技術も持っていたとは思えない。

そんなあり得ない展開。
それに目を瞑ったとして、アグスティンがペドロとして生きようとして得たものは何だったのか。
これも非常に難しい。

確かに、愛し合う女性との出会いはあったけど。
そこに幸せを感じたアグスティンの気持ちも分からないではないけど、
だからと言って、他人の人生を生きることしか選択肢がなかったのか…。
それは苦しい選択のような気がするけど。
それほど自分や自分の生活が嫌いだったのかな。

彼はそれで幸せだったのかもしれないけど、その価値観に共感しにくいので、
作品としてはイマイチ踏みこめずに終わりました。

ヴィゴ・モーテンセンはさすがです。
アグスティンの不安定さはよく演じていると思うけど、以前のような影のあるワイルドな役が好きかな~。