東京家族

 
男はつらいよ」シリーズ、「おとうと」の山田洋次監督が小津安二郎監督の傑作「東京物語」をモチーフに、現代の東京に生きるある家族の姿を厳しくも温かな眼差しで見つめた感動ドラマ。当初予定していたクランクイン直前に東日本大震災が発生したため、撮影を約1年延期し、その間に改めて震災と原発事故を踏まえた脚本への描き直しが行われた。出演は橋爪功吉行和子、西村雅彦、夏川結衣中嶋朋子林家正蔵妻夫木聡蒼井優
2012年5月、瀬戸内海の小島に暮らす平山周吉と妻のとみこは、子どもたちに会うために東京へやって来る。郊外で開業医を営む長男・幸一の家では、長女の滋子、次男の昌次も集まり、家族全員が久々に揃って和やかなひとときが流れる。しかし内心では、子どもたちは日々の生活に追われ、長居する両親を厄介者と感じてしまう。そんな中、とみこは将来を心配していた昌次から恋人の紀子を紹介され、上機嫌になるのだが…。<allcinema>
2012年 上映時間:146分
おかしくて、かなしい。これは、あなたの物語です。イメージ 1      監督:山田洋次  製作:秋元一孝  製作総指揮:迫本淳一    プロデューサー:深澤宏 矢島孝  脚本:山田洋次 平松恵美子  撮影:近森眞史  美術:出川三男  衣裳:松田和夫        編集:石井巌  音楽:久石譲  音楽プロデューサー:小野寺重之 スペシャルアドバイザー:横尾忠則                   出演: 橋爪功  平山周吉                           吉行和子 平山とみこ                           西村雅彦 平山幸一                           夏川結衣 平山文子                           中嶋朋子 金井滋子                           林家正蔵 金井庫造                            妻夫木聡 平山昌次                           蒼井優 間宮紀子                             小林稔侍 沼田三平                           風吹ジュン かよ                              茅島成美 服部京子                                                      柴田龍一郎 平山実                                                      丸山歩夢 平山勇                                                       荒川ちか ユキ

瀬戸内の小島から、東京で暮らす子供たちに会いにやってくる老夫婦。
凄ーく年寄りに見える風貌なんだけど、実は60代という設定らしい。
現代の60代はもっと元気なんじゃなかろうかと、思わず突っ込みたくなる。

長男の開業医一家はそれほどでもないけど、長女の美容室がこれまたなんとも昭和チック。
下町ってこんな感じなのかな?と戸惑う風景。

それに加えて、女優陣の台詞の不自然さ。
わざとなのかもしれないし、中嶋朋子演じる長女を表すための演出なのかもしれないけど、
違和感があって受け付けなかった。

なんていろいろ思ったりすることもありますが…。
そういうこととは別にして、作品全部が苦手だったわけではありません。

子供たちに会うために上京した老夫婦だったけど、
子供たちはそれぞれの生活があって、ゆっくりと語らうこともできない。
ホテルでふたり佇む姿や、もう帰りましょうか、と呟く姿など、滑稽でもあり哀しくもあり…。

お上りさん状態の年老いた両親を持て余す子供たちの姿は、
きっといつの時代も同じなんだろうなと思ってしまいます。
親にとって子供はいつまでも子供なんだけど、
気がつけば、頼りかなかった次男坊も、
実はちゃんと彼女がいて、将来も考えていて、親のことを安心させようとする。
ほっこりと暖かい、次男とその彼女と母親の一夜。
この作品の中で一番印象に残るシーンでした。

そんな次男坊のことを、応援してくれた母親の突然の死。
設定の不安定さはあるものの、母親が亡くなるシーンから後半は
涙が止まりませんでした。

ただ、146分と長いんです。
ひとつずつ繋がっていくのは分かるけど、ちょっと辛いですね…。
後半に気持ちが取り込まれたから観られたけど、
どこかに気持ちが入らないと、この長さはきついです。

優しいお母さんの吉行和子
寡黙で頑固なお父さんの橋爪功
次男の彼女役の蒼井優
この作品で印象的だったキャスト。
オリジナルは未見なので比べようもありませんが、
個人的には好感が持てる配役でした。


ラスト。
島に残った父親が、近所の人と福祉に頼る、と言った台詞が沁みました。
親子の関係はいつの時代も変わらないのかもしれないけど、
老後の行く末は、どこへ行くのか不安を感じますね…。