あの日 あの時 愛の記憶

 アウシュヴィッツ強制収容所で恋に落ち、命懸けの脱走に成功しながらも直後に生き別れてしまった恋人たちが、30数年の時を経て運命の再会を果たしたという奇跡の実話を基に描く衝撃のラブ・ストーリー。出演はアリス・ドワイヤー、ダグマー・マンツェル、マテウス・ダミエッキ、レヒ・マツキェヴィッチュ。監督はアンナ・ジャスティス。
1976年、ニューヨーク。ドイツからアメリカに渡って結婚し、優しい夫と娘とともに幸せな日々を送る女性、ハンナ。ところがある日、テレビから聞こえてくる声にショックを受ける。死んだと思っていたかつての恋人、トマシュに間違いなかった。それは1944年のポーランドアウシュヴィッツ強制収容所でのこと。ユダヤ人の彼女は、政治犯として収容されていたトマシュとそこで出会い、恋に落ちた。トマシュはレジスタンス活動に加わっており、収容所内の実態を写したネガフィルムを持ち出すという過酷な任務を控えていた。脱走計画が着々と準備される中、彼は周囲の反対を押し切り、ハンナも一緒に連れ出すという危険な賭けを強行するのだが…。<allcinema>

2011年 原題:DIE VERLORENE ZEIT REMEMBRANCE                上映時間:111分 製作国:ドイツイメージ 1いとしい声が、私を呼んだ。
監督:アンナ・ジャスティ
製作:スヴェン・ヴォルト
脚本:パメラ・カッツ
撮影:ゼバスティアン・エドシュミット
音楽:ジュリアン・マース クリストフ・カイザー
出演:
●アリス・ドワイヤー ハンナ・ジルベルシュタイン(1944年のハンナ)
マテウス・ダミエッキ トマシュ・リマノフスキ(1944年のトマシュ)
●ダグマー・マンツェル ハンナ・レヴィーン(1976年のハンナ)
●レヒ・マツキェヴィッチュ トマシュ・リマノフスキ(191976年のトマシュ)
スザンヌ・ロタール ステファニア・リマノフスカ(トマシュの母)
●フロリアン・ルーカス ハンス・ヴォン・アイデム
●デヴィッド・ラッシュ ダニエル・レヴィーン(ハンナの夫)
事実に基づくお話。
ラストまで行って、ああ良かったと思いました。
どこかで破たんするのでは…。
そう思わずにはいられない、危険を含んだ人生を歩んだハンナ。

ユダヤ人のハンナが、アウシュビッツでトマシュと恋に落ち脱走。
まずそこから緊張感が続きます。
無事に脱走できるのか。
脱走したらその後に待つ、トマシュの母親との確執。
母親の仕打ちも、ハンナの人生が困難だと言っているようでした。

それでも、ハンナが生き残れたことは、万にひとつの奇跡だったかもしれません。

そんな過酷な時代。
死んだと思って新しい人生を歩んでいた二人。
生き残れたことと同様の、奇跡のような些細なことで、過去へ繋がっていきます。

最後の最後まで、もしかしたら再会はないのかもしれない、
そんな風に考えてしまうくらいに、奇跡がそう何度も続くのかと思いました。

映画では再会のシーンはありません。
気になってネットで調べてみると、ふたりのその後が分かってほっとしました。
過酷な半生に再び灯りがともり、輝きだす。
アウシュビッツという地獄を見た二人だから、今幸せでいることに何の非難もありません。

互いが死んだと思って、新しい人生を歩いていたとしてもそれを責めることはできない。
それが分かっているから、ふたりのその後が良き友人として生涯を全うできたことは
しあわせだったと言えるかもしれません。


モデルとなった二人について書かれたニューヨークタイムズの記事によると,
再会後の二人は,生涯よき友人を通した、とあります。
再会したとき,トマシュ(実名イエジ・ビレッキ)はハンナ(実名シーラ・シバルスカ)に,
39本のバラの花を捧げました。それは彼らが逢えなかった39年の歳月を現していたそうです・・・。