黄金のアデーレ 名画の帰還 (2015)

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 クリムトの名画“黄金のアデーレ”が辿った数奇な運命に秘められた驚きの実話を映画化した感動のドラマ。ナチスに略奪された“黄金のアデーレ”の正当な持ち主として名乗り出た82歳の女性マリア・アルトマンが、駆け出し弁護士ランドル・シェーンベルクとともにオーストリア政府を相手に一歩も引かない返還闘争を繰り広げるさまと、激動の時代を生きたマリアとその家族の物語を描く。主演は「クィーン」のヘレン・ミレンと「[リミット]」のライアン・レイノルズ。共演にダニエル・ブリュール、タチアナ・マズラニー、ケイティ・ホームズ。監督は「マリリン 7日間の恋」のサイモン・カーティス
 ユダヤ人女性のマリア・アルトマンは、ナチスに占領された祖国オーストリアを捨て、夫フリッツとともにアメリカへの亡命を果たす。1998年、82歳となったマリアは亡くなった姉ルイーゼがオーストリア政府に対してクリムトの名画“黄金のアデーレ”の返還を求めていたことを知る。それはマリアの伯母アデーレの肖像画で、第二次世界大戦中にナチスに略奪されたものだった。マリアは姉の思いを受け継ぐことを決め、駆け出しの弁護士ランディに協力を仰ぐ。しかし、その名画は“オーストリアモナリザ”と称される至宝。オーストリア政府にこれを手放す気は毛頭なく、マリアとランディの闘いは困難かつ長い道のりとなっていく。<allcinema>

2015年アメリカ/イギリス 原題:WOMAN IN GOLD 上映時間:109分
クリムトが描いた、一枚の肖像画
幸せな記憶を封印したウィーンで、私は<家族>を取り戻す――

監督:サイモン・カーティス
原案:E・ランドル・シェーンベルク マリア・アルトマン
脚本:アレクシ・ケイ・キャンベル
音楽:マーティン・フィップス ハンス・ジマー
出演:
ヘレン・ミレン/マリア・アルトマン
ライアン・レイノルズ/ランディ・シェーンベルク
ダニエル・ブリュール/フベルトゥス・チェルニン
ケイティ・ホームズ/パム・シェーンベルク
タチアナ・マズラニー/若い頃のマリア・アルトマン
マックス・アイアンズ/フリッツ

2015年12月に鑑賞しましたが、2015年最後になってベスト1の作品でした!
いつものごとく、多くの知識を入れずに観に行ったので、
ほとんどすべてのことが初めて知ることばかり。


ちょうど【ミケランジェロ・プロジェクト】を観た後だったこともあって、
どちらも、残っていたことに喜びを感じるとともに、
もし失われていたら、と思うと本当に奇跡としか言いようがありません。

若いころのマリアがどうやって家族と決別し、祖国捨て亡命するか。
その決断のシーンは、この中では語りつくせない勇気や悲しみがあったはずだと思えます。
亡命するマリア夫婦もだけど、見送る両親の気持ちも切なかった。

絵画を取り戻すためとはいえ、その捨てた故国に戻らなければいけない苦悩。
その理由が徐々に明らかになる展開に、息つく暇もないくらいに引き込まれました。

長い時間をかけて最終的に判決が出たとき、
分かっていたこととはいえ、ブラボー!と叫びたくなり、胸が熱くなりました。

ヘレン・ミレンは御年70歳。
スクリーンに映し出される顔には皴もあり、年相応ですけど、それが魅力です。
品があって、いつまでも観ていたい、そんな女優さんです。
彼女の演技が、今作をさらに引き立てていました。

一枚の名画に、こんな歴史があったとは…。
反戦という思いも届く、本当に素晴らしい作品でした。