母の命日です

今日、10月17日は母の命日です。
10年前の朝、突然に、何の前触れもなく亡くなりました。

ぼう然とする父と私の、長い一日が始まったのです。
職場や親戚への連絡。
電話の向こうで、みな一様に言葉をなくしていました。

葬儀など出したことがなかったので、すべてが初めてのこと。
お仏壇などもなかった家でしたから、
いざとなったらお付き合いしていたお寺さんもなく、
ご近所のお世話で、近くのお寺さんを紹介してもらう、
なんてこともありました。

決して健康とは言えなかった父にまで気が回らず・・・。

かなりショックだったと分かったのは、すべて終わった四日後の日曜の朝。
食事を受け付けなくなってしまった父は、その日から寝込んでしまったのです。

よく月曜。
車でかかりつけの病院まで送って行ったところ、
主治医の先生にすがって泣き始めたのです。
・・・ああ、この人は、誰よりもつらかったんだ。と思いました。

人の命というのは、本当にあっけないものです。
母は、旅行に出る朝の突然死。
父は、母を亡くしてしまったことで生きる気力を無くしてしまっての死。
一週間のうちに二度の葬儀を出さなければならなかった私は、
考えることもなく、日々の生活に追われるようになったのでした。

姉さん女房で再婚だった母。
仕事で離れてしまった父を追いかけて、40年前には珍しい同棲をし、
その時に子供を実家において行った母。
母親であることより女であることを選んだ母。
愛情溢れる女性だったようです。

・・・とても真似できません。

そんな母だから父も愛したのかもしれません。

この10年、10月はつらい月でした。
日の暮れが早くなるこの時期は、淋しさが込み上げて来たものでした。
でも10年も経てば、落ち着くものですね。
今年はあまりしみじみする感じではないようです。

いつもと同じ、
母の好きだったカサブランカを花器一杯に飾って
父の好きだった栗饅頭を供えて、
今年もこの日が過ぎていきます。