チョコレート

http://www.discas.net/img/jacket/081/727/r081727276L.jpg
ハンクはアメリカ南部の刑務所で死刑囚棟の看守を長年務めてきた男。
彼の父も同じ看守を務め、今は息子のソニーが同じ道を歩み始めたところだった。
ハンクは父譲りの人種差別主義者だったが、息子のソニーは心の優しい人間で、
そんなハンクの考え方に疑問を感じていた。
黒人の囚人ローレンス・マスグローヴに対する処刑の日、
ハンクとソニー電気椅子に向かうローレンスに付き添うことになったが、
慣れないソニーは執行の直前に取り乱してしまった。
刑の執行後、自らの職務に厳格なハンクはそんなソニーの態度を厳しく叱責してしまう……。

アカデミー賞 2001年 主演女優賞 ハリー・ベリー
ベルリン国際映画祭 2002年銀熊賞(女優賞)ハル・ベリー

ハル・ベリーと、監督のマーク・フォースターの名前で、手に取った作品でした。

最初は、ハンク家族の話で進んでいきます。
刑務所の電気イスのシーンは、【グリーン・マイル】を思いだしてしまって、
ちょっと苦しかったですね。
何度も観たいシーンではありませんから・・・。

でも、そのシーンとその後の繋がりは、見事でした。

お互いに事情を知らずに魅かれあっていく。

男は息子を亡くし、女は夫と息子を亡くし
そんなふたりが出会えば、自然と魅かれ合っていくでしょう。
寂しさという傷を舐めあい、生きていく希望を見つけるために。

何年も夫が刑務所にいたことで、女として満たされていなかった・・・。
夫と息子を亡くしたとき、そばにいた男に『女』を思いだす。
そして激しく求めてしまう。

普通ならあそこまで露骨に描かなかったかもしれません。
でもそのシーンが、ふたりに相手の存在が必要だったことを
明確に示していたようです。

次第に、身体を満たす相手から、心を満たす相手になる。

人種差別主義者である男は、女が黒人であることを
どうやって認めていったのでしょうか。
好きになったらそれが理想の相手であり、外見ではない、ってことでしょうか。

人種差別だけでなく、人にはいろいろな差別意識があるかもしれません。
それを乗り越えていくには、相手の人柄を見る目を持つことでしょうか。

決して楽しい作品ではないけど、
でも人種差別をテーマにした思い作品でもありません。
男と女の、恋愛映画として観ていいと思います。

ラストシーン。
ふたりの間に、穏やかな時間が流れる予感を感じました。