僕のピアノコンチェルト

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「山の焚火」「最後通告」といった個性的な作品で日本でも知られるスイスの巨匠フレディ・M・ムーラー監督が、ピアノと数学に天賦の才を発揮する天才少年の孤独と心の成長を描くヒューマン・ドラマ。天才ゆえの苦悩を抱えながらも、両親や周囲との軋轢を乗り越え本当の自分を掴み取ろうと悪戦苦闘する少年の姿を、ユーモアを織り交ぜ優しい眼差しで綴る。主人公ヴィトスの12歳を演じるテオ・ゲオルギューは、自身も国際的なコンクールでの優勝実績を持つ新進ピアニストで、劇中の演奏シーンも彼自身がこなしている。スイスを代表する名優ブルーノ・ガンツが、主人公と心を通わす祖父役で出演。
 人並み外れたIQを持ち、ピアノを弾かせればまるで巨匠のような腕前を披露する天才少年、ヴィトス。やがて両親のレオとヘレンは、息子を一流のピアニストに育てるべく音楽学校に通わせることを決意する。しかし両親の過剰な期待がありがた迷惑でしかないヴィトスにとって、お祖父さんだけが唯一の理解者であり、お祖父さんと一緒に過ごしているときだけが心の安まる時間だった。やがて12歳となったヴィトスの生活はますます息苦しく孤独なものとなっていた。そんなある日、ヴィトスはマンションから落ちたところを発見される。怪我はなかったものの、事故の後遺症で高いIQもピアノの才能も失い、すっかり普通の男の子になってしまったヴィトスだったが…。(allcinema)


彼の奏でる音楽は♪みんなをしあわせにする。

原題 VITUS


2006年 スイス製作作品


これは単純にツボにはまってしまいました。

感動、感動、です。


勉強するよりピアノを弾きたい。
勉強はできなくても、ピアノくらいは…。

そんな言葉を耳にするたびに、『馬鹿じゃピアノは弾けないんだ!』と言いたくなってしまうので、
とても面白く観てしまいました。


確かにそれほど高いIQを持つ子供は、そんなにはいませんが、
それでもコンクールで入賞する生徒に対して
『お勉強もできるんだろうね。医者になったほうがいいかもね』といった会話も交わされるくらいなのです。


なので、ヴィトス少年には拍手を送るながら観ていました。


普通の子供になりたいヴィトス少年の、唯一の理解者はお祖父さん。
ヴィトス少年も、相手が自分にどう接するかで態度を決めていた感じはします。
お祖父さんは、特別ではない、普通の孫でよかったんでしょう。
いつも普通に接していきます。

ヴィトス少年が、自然に振る舞える空間がそこに存在していたのです。

その空間があったから、自分を見失わなくて済んだんでしょうね。


息子のことに一所懸命だった母親も、家族を守るために必死で働いた父親も、
息子の本当の気持ちや力を知って驚いたラスト。
その姿に、両親は親として誇らしくも感じ、そして息子の偉大さを感じたでしょう。


ちゃんと自分の進むべき道を歩き始めたヴィトス少年。
あまりの急激な展開に、多少戸惑いはあったものの爽快でした。


大好きなお祖父さんを助けるためにとった行動は、行き過ぎの感じはありますが、
それもヴィトス少年の力を見せるための演出、ということで…。



音楽から離れられず、CDを聴いて演奏するゴールドベルグ協奏曲は素晴らしかったです。

やっぱり音楽なんだと、安心もしましたし…。



ヴィトス少年を演じたテオ・ゲオルギュー。
コンクール優勝経験を持つ彼の、本当の演奏だったということで、感動もひとしおでした。



生意気だけど、ピアノが大好きなヴィトス少年に会いたい方、
ピアノが好きな方、いかがでしょう。