ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008)

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 「セブン」ファイト・クラブ」に続いて3度目のコンビを組んだデヴィッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演で贈る感動ヒューマン・ファンタジー大作。『グレート・ギャツビー』で知られる小説家F・スコット・フィッツジェラルド1920年代に著わした短編を基に、80歳の老体で生まれ、年を取るごとに若返っていく男の波瀾に富んだ人生の旅路が、激動のアメリカ現代史を背景に、最新のCG技術を駆使した驚異の映像で描かれてゆく。共演は「バベル」のケイト・ブランシェット
 1918年、ニューオーリンズ。ある一組のカップルの間に男の子が産まれる。しかし、その赤ん坊は80歳の老人と見まがうほど奇異な容貌をしていた。ショックを受けた男は困り果てた末、赤ん坊を老人養護施設に置き去りにしてしまう。そして、施設を営む黒人女性クイニーに拾われた赤ん坊はベンジャミンと名付けられ、献身的に育てられるのだった。成長するにつれ髪が増え、皺が減り、車椅子から立って歩けるようになるなど、普通の人間とは逆に若返っていくベンジャミン。やがて少年期を迎えた彼はある日、施設入居者の孫娘で6歳の少女デイジーと出会う。それは、これから様々な経験を積み壮大な人生を歩んでいくベンジャミンにとって、今後かけがえのない存在となる女性との運命の出逢いだった…。(allcinema)

原題:THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON



話題作を、多くの人と共有できるというのは嬉しいことです。
本当にそう思える作品に出合いました。

観終わった直後の感想は、そういうラストなんだ…、ということ。
普通の人とは逆の人生を送るベンジャミンの、不安と苦悩といった部分ばかりが描かれているのでは、
と勝手に想像していたので、思ったより穏やかな時間に大きなため息が漏れました。


ベンジャミンは、真逆の人生を送っていなければ全く普通の人だということ。
どんな人間でも、産まれたときから死へ向かっている。
だからこそ精一杯生きる。
そんな小難しいことを延々と綴っていくわけではない。

こちらがヤキモキしてしまうくらいに、ベンジャミンは普通に生きていきました。

そういう描き方が観る者に優しさとか穏やかさを感じさせたのではないでしょうか、
決して167分は長くないのです。


若返っていったブラピの鮮やかさ!
20代くらいでしょうか。輝いてましたね~!

そういう技術は素晴らしい。
今だからこそ作れた作品だと聞きましたけど、ほんとうに凄い特殊メイクとCGでしたね。



派手な演技は一切ないけれど存在感のあるブラピと、喜怒哀楽を見事に演じたケイト・ブランシェット
ケイトは、凛として潔い女性を演じていますが、とても素晴らしかったです。
夜の公園のダンスシーンは、吸い込まれそうでした。

そのケイトが演じたデイジーからは目が離せませんでした。
女性として、その生き方に自分自身を重ねてしまって…。

大好きな人に拒まれて、それでも気がついたらベンジャミンしか見えなかった。

そういう恋愛は普通だと思うけど、女として若返っていく恋人は辛いですよね。
ダンサーだったわけで、身体の柔軟さやラインを一番こだわって来たはずです。
皺が増える顔、張りがなくなる肌…。
そんな自分とは正反対の恋人って、どう接したらいいか分からなくなっていくんじゃないかな。

それがどんなに愛する人であっても…。


子供2人、育てるのは大変だし、子供には普通の父親が必要。
そう言ったベンジャミンには迷いはなかったし、デイジーの行動は潔かった。

ふたりの人生は交わったり重なったりと、それは最期まで続いていく。
ままならないけれど、それもまた人生だと思えます。

ファンタジーのようでもあり事実のようでもあり、
ベンジャミンの人生をゆっくりかみしめた後、生きる勇気をもらえる作品です。