シルヴィア

イメージ 1没後40年以上たった現在でも世界中で読み継がれるピュリッツァー賞作家シルヴィア・プラスの生涯を映画化。桂冠詩人テッド・ヒューズとの運命の恋を軸に、純粋で繊細な一人の女性の短くも濃密な人生を綴る。主演は「恋におちたシェイクスピア」のグウィネス・パルトロー。共演に「ロード・トゥ・パーディション」のダニエル・クレイグ
 アメリカの裕福な家庭に育ち、子どもの頃から詩作の才能を発揮して神童と呼ばれた女性シルヴィア・プラス。彼女は優れた詩人になるとの大志を抱いてイギリスのケンブリッジに入学する。ある日彼女は、イギリス人大学院生テッド・ヒューズの詩を読み深い感銘を受ける。その後シルヴィアはテッド本人と出会い、2人は運命の恋に落ちた。結婚しロンドンに居を構え、詩作に没頭する2人。やがてテッドの作品がニューヨークで賞を受賞し、2人はそれを喜ぶが、その頃からシルヴィア自身は行き詰まりを感じ始めるのだった…。(allcinema)


ぼくは君を愛せていただろうか

死後、ピュリッツァー賞を受賞した伝説の女性詩人シルヴィア・プラスと夫テッド・ヒューズ。二人の詩人の、ある愛の詩


2003年 イギリス製作作品
監督:クリスティン・ジェフズ
脚本: ジョン・ブラウンロウ
音楽: ガブリエル・ヤーレ
グウィネス・パルトロー :シルヴィア・プラス
ダニエル・クレイグ テッド・ヒューズ



【007】から【ディファイアンス】と続いたので、
D.クレイグ作品が観たくてレンタルしてみました。

D.クレイグはこれまでも何作か観たのですが、出演作の幅が広い人ですね。
今回は、イギリスの桂冠詩人だったテッド・ヒューズという実在の人物を演じています。

タイトル通り、この作品はテッド・ヒューズが主役ではなく、
その妻シルヴィアが主人公となっています。



英国文学にも詩にも詳しくないので、シルヴィア・プラスという人のことは全く知りませんでした。

Wikipediaを辿っていくと彼女が双極性障害躁鬱病)に悩まされていたとあります。
なるほど。確かにジルヴィアの気性は激しいものでした。
ケンブリッジ大学で知り合ったシルヴィアとテッドは、
出会ってわずか四ヶ月後には結婚してしまいます。


先日、青島広志先生の講座で「芸術家は気性が激しいから結婚には向かない」
と仰っていたのを思い出しました。
今日好きでも、明日は嫌いかもしれない。

芸術家同士の恋は、あっという間に燃え上がったのでした。

ところが、結婚生活で擦れ違いが始まります。
妻に創作活動を続けてほしい夫…。
夫のためにケーキを焼いて帰りを待っていたい妻…。

シルヴィア自身も、書けなくなっていく自分に腹立たしさを感じていきます。


この頃のシルヴィアは、夫に尽くす妻でいたくもあり、詩人として成功もしたい、
そんな狭間にいたようで、笑顔がなくなっていくシルヴィアの姿は痛々しかったです。
もしかすると、詩人として成功する夫への嫉妬もあったのかも…。

そんな妻の姿に、夫は嫌気をさして浮気をするわけですが…。


確かに浮気をする方が悪い。
でもシルヴィアがいる家に戻りたくないテッドの気持ちも理解できるほどに、
シルヴィアは荒んでいくのです。


そんな荒んだ生活の中で再び創作活動を始めたとき、
そういう不幸な状態でしか創作できないひとなのだと感じました。
怒りとか苦しみといったものから広がる創作の世界…。
幸せな環境からは生み出すことができない人だったのでしょう。

悲しい女性の最期でした。


鬼気迫るグウィネス・パルトローの演技は素晴らしく、見事でした。


テッドは、シルヴィアの死後一切語らなかったそうで、そこにはシルヴィアへの愛情を感じます。
憎み合っているわけではなく、一緒になるべき相手ではなかったのかもしれません。


強烈な印象ではないけど、胸の深い所に沁み込む作品でした。