ミルク (2008)

　自らゲイであることを公表し、ゲイをはじめあらゆるマイノリティの社会的地位向上のために立ち上がった伝説の活動家ハーヴィー・ミルクの波乱に富んだ後半生を、名優ショーン・ペンの熱演で描く感動の伝記ドラマ。共演に「イントゥ・ザ・ワイルド」のエミール・ハーシュ、「ノーカントリー」のジョシュ・ブローリン、「スパイダーマン」シリーズのジェームズ・フランコ。監督は「マイ・プライベート・アイダホ」「グッド・ウィル・ハンティング／旅立ち」のガス・ヴァン・サント。
　1972年、ニューヨーク。金融業界で働いていたハーヴィー・ミルクは、20歳も年下の青年スコット・スミスと出会い、恋に落ちる。２人は変化を求めてサンフランシスコに移住し、同性愛者も多く住む“カストロ地区”でカメラ店を開き、新生活をスタートさせる。陽気なミルクの人柄が多くの人を引き寄せ、いつしか店は同性愛者たちの社交場となっていく。それにつれてミルクは、同性愛者をはじめとした社会的弱者が抱える問題を改善するために積極的に活動するようになり、次第に政治に目覚めていく。そして、市の行政に直接関わるべく、ついには市政執行委員選挙にも立候補する。自由な空気漂うサンフランシスコとはいえ、同性愛者であるミルクの決断は周囲に大きな波紋を広げていく。(allsinmea)


「ミルク」は、希望のはじまりだった。

1970年代のアメリカ。マイノリティのために戦った政治家
ハーヴィー・ミルク…人生最後の８年間


製作国 アメリカ
監督： ガス・ヴァン・サント
脚本： ダスティン・ランス・ブラック
音楽： ダニー・エルフマン

出演： ショーン・ペン ハーヴィー・ミルク
エミール・ハーシュ クリーヴ・ジョーンズ
ジョシュ・ブローリン ダン・ホワイト
ジェームズ・フランコ スコット・スミス

いつも出かけるTOHOシネマズでは公開されていなくて、
それでも観たかったので、今回は初めての劇場まで出かけてきました。

連休初日で水曜日。
これは行くしかないでしょう♪

2008年アカデミー賞の主演男優賞受賞のショーン・ペンと、その内容に惹かれての鑑賞でした。

ショーン・ペンの演技は、さすがと唸ってしまいました。
ゲイの役なのですが、特別ではない仕草でも、それを感じさせるのです。
歩き方も、話し方も…。
決して大げさな動きをするわけではないのに、ゲイだと分かるというのは素晴らしい。
それだけでも鑑賞した価値がありました。

そして、出ているとは知らなかったジェームズ・フランコ君。
まさかのゲイで、ショーン・ペン演じるハーヴィー・ミルクの恋人役。
こんな役ができるんだと、その抑えた演技は渋かったです。

キャストはもちろんですが、内容も良かったです。
ハーヴィー・ミルクという人のことは、全く知識がなかったのですが、
彼の人となりが良く描かれていて、何をした人か伝わってきます。

1970年代に、マイノリティの人権を守るために戦ったハーヴィー・ミルク。
私の周囲には、ゲイの人はいないのですが、
もし今後出会ったら、関わるようなことになったら、
この映画に出合ってよかったとさらに思うでしょうね。

単なるゲイだけのことではなく、マイノリティというのは障害者や有色人のことでもあるんだと
遠い世界の話ではないということを教えてくれました。

そういう人たちも人として生きる権利があり、それを守る世の中でなければいけない。

ユーモアがあって社交的なハーヴィー。
そんな彼の元に、全米中からゲイが集まって来るし、市政執行委員選挙には出るし…。
何がハーヴィーの幸せだったのかなと、思わずにはいられませんでした。

離れてしまっても想い続けたスコット。
ハーヴィーの幸せは、マイノリティのために戦うことだったのか…。

政治家になっても、どこか寂しそうに見えたのは私だけでしょうか。

ハーヴィー・ミルクがいたから、今のアメリカがある。

どれだけの人に慕われていたかをあらわすように、
３万人以上もの人が、その死を惜しんで行進したシーンには感動しました。

そして、それぞれの人たちのその後が解説されていて、
ハーヴィー・ミルクの遺したものがどれだけ大きかったかを感じました。

偉大なハーヴィー・ミルクではありましたが、切なく心を打つ作品です。