ホテル・ルワンダ

イメージ 11994年、アフリカのルワンダで民族対立が原因の大量虐殺事件が発生、欧米諸国や国連の無策が被害を拡大させる中、1200人もの人々をホテルに匿い、持ち前の機転と交渉力でその命を守り抜いた一人のホテルマンの奇跡の逸話を映画化。主演は「青いドレスの女」「オーシャンズ11」のドン・チードル。監督は「父の祈りを」の脚本で知られるテリー・ジョージ。日本では長らく公開のメドが立たずにいた本作は、有志による熱心な署名活動が実を結び晴れて公開実現の運びとなったことでも話題に。
 1994年、ルワンダの首都キガリ。多数派のフツ族と少数派のツチ族の内戦はようやく和平交渉がまとまるかに見えたが、街では依然としてフツ族派ラジオ局が煽動的なプロパガンダを繰り返し不穏な空気に包まれていた。ベルギー系の高級ホテル“ミル・コリン”で働く有能な支配人ポール。ある晩帰宅した彼は、暗闇に妻子や近所の人たちが身を潜めていのるを目にする。フツ族大統領が何者かに殺され、これを契機にフツ族の人々がツチ族の市民を襲撃し始めたのだ。ポール自身はフツ族だったが、妻がツチ族だったことから一行はフツ族の襲撃を逃れミル・コリンに緊急避難する。外国資本のミル・コリンはフツ族民兵たちもうかつには手を出せなかった。そのため、命からがら逃げ延びてきた人々が続々と集まってくるのだが…。(allcinema)


「愛する家族を守りたい。」
ただ1つの強い思いが、1200人の命を救った…。


2004年 イギリス/イタリア/南アフリカ 製作作品

監督: テリー・ジョージ
脚本: テリー・ジョージ ケア・ピアソン
音楽: ルパート・グレグソン=ウィリアムズ アンドレア・グエラ
出演: ドン・チードル ポール・ルセサバギナ
   ソフィー・オコネドー タチアナ・ルセサバギナ
   ホアキン・フェニックス ジャック・ダグリッシュ
   ニック・ノルティ オリバー大佐




あちこちで評判になっていたので観ようと思いながらも、
テンションが低い時には辛いな~と、延ばし延ばしになっていた作品です。

なんと言っても【シンドラーのリスト】も観てないのですが、
こういう行動をした人というのは、語り継がれていくんだろうと思いました。
ディファイアンス】も同じでした。
ただ違っていたのは、ルワンダ紛争が1990年代という
まだ記憶に新しい時代だということです。

それでもルワンダ紛争のことは、まったく知りませんでしたが…。


フツ族のポールが、ツチ族の妻と子供たちを守ろうとしたときは、
まだポールには、自分の家族のことしかありませんでした。
隣人が危険にさらされても、それを止めることをしなかったのです。
だれだって自分が一番可愛いのですから。

ところが、ポールは一流の支配人でした。
家族も大事だけれど、ホテルの宿泊客も大事だったのでしょう。
彼はホテルにいる人を見捨てることができませんでした。


ポールはどんな時でも支配人として仕事をしていました。
紛争の最中、いつでもスーツにネクタイ姿でした。
4つ星のホテルマンとして、品格を守り続けたのです。

そのポールが、大量の虐殺を目にした後、
ネクタイが結べず嗚咽し倒れこむシーンは、胸が痛みました。


降りしきる雨の中、外国人だけがホテルを脱出するシーン。
お客を傘をかざしてバスへ送るスタッフの仕事振りにも、胸が痛みました。

同じ人間なのに、行く者と残る者が存在したのは何故なのでしょう。


ポール一家は、ふたりの姪とも再開し無事に外国へ行くことができましたが、
そこで感じたのは、まだ救われない人たちがいたということです。

助かってよかったね、とは思えませんでした。

ポールが救った人以上に不幸な状況にいる人がいること、
そしてその不幸な状況を作ったのが同じ国の人間だということ。
こんな不条理に怒りも感じました。


人間の狂気…。
「この映像を全世界の人に見せても“恐いね~”って言うだけ。誰も助けに来ないよ。」
ジャーナリストの言葉にも狂気が見えます。

国家を救うことの難しさも感じました。
それでも、事実を知ることで変えることができるかもしれません。


様々なことを感じ、考える素晴らしい作品でした。