ヒストリー・オブ・バイオレンス

イメージ 1ある事件をきっかけに夫の過去を巡る黒い疑惑が浮上、平穏だった一家が暴力と罪の渦に呑み込まれていくさまを、リアルでショッキングな暴力描写とともに綴る衝撃のサスペンス・ドラマ。同名グラフィック・ノベルを鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督が映画化。主演のヴィゴ・モーテンセンをはじめ、マリア・ベロエド・ハリスウィリアム・ハートら実力派俳優陣による迫真の演技合戦もみどころ。
 インディアナ州の田舎町で小さなダイナーを経営するトム・ストールは、弁護士の妻と2人の子どもとともに穏やかな日々を送っていた。そんなある夜、彼の店が拳銃を持った2人組の強盗に襲われる。しかしトムは驚くべき身のこなしで2人を一瞬にして倒してしまう。店の客や従業員の危機を救ったトムは一夜にしてヒーローとなる。それから数日後、片目をえぐられた曰くありげな男がダイナーに現われ、トムに親しげに話しかける。人違いだと否定するトムだったが、トムの過去を知るというその男は、以来執拗に家族につきまとい始める。(allcinema)


2005年 アメリカ/カナダ製作作品
原題:A HISTORY OF VIOLENCE

監督: デヴィッド・クローネンバーグ
脚本: ジョシュ・オルソン
音楽: ハワード・ショア
出演: ヴィゴ・モーテンセン/トム・ストール
    マリア・ベロ/エディ・ストール
    エド・ハリス/カール・フォガティ
    ウィリアム・ハート/リッチー・キューザック



先日レンタルしたDVDの作品案内で見つけました。
ヴィゴ・モーテンセン主演ならば観なければ…!


緊迫した96分でした。

ヴィゴ・モーテンセン演じるトムが、ある事件で過去が暴かれて行きます。
その中で、トムとその家族が壊れて行く様子を描いています。

いじめられっ子だった息子のジャックは、
父親の姿に触発されたかのように同級生に暴力を振るいます。
そんな息子に怒るトムでしたが、
「それじゃあ、お父さんのように銃で解決すればいいの?」
と言われ言葉を失くします。

その後、父親の正体を知った息子は、
「僕がドラッグストアを襲ったら、分け前をよこせと言うの?」

トムはもちろん、ジャックの戸惑い、怒りと悲しみが伝わってきました。


「あなたは私が愛したトムではないの?あなたは本当に今まで何人もの人を殺してきたの?」
妻のエディの怒りと悲しみからの言葉でした。


過去を捨てたトムでしたが、それは彼自身の思い込みで
過去に関わった人間や家族は、決してトムを忘れません。
暴力でその関係を断ち切ったのはひと時のことで、
家に戻ったトムに、今までと同じ生活が戻ってくるのでしょうか。

必死で家族を必要とし続けるトムの姿が忘れられません。


暴力で解決しても、本当の解決とは言えない。
そこに疑問を投げかけたラストシーンだと思います。

私には、家族の再生は成し遂げられたとは思えませんでした。



ヴィゴ・モーテンセンは、本当に過去を忘れたのかのように終始無表情でトムを演じています。
無表情というのは、トムの暴力に対する強さを表していたんでしょう。

エディを演じたマリア・ベロは、
【シークレット・ウィンドウ】でジョニーの元奥さんを演じた人でした。
トムとは対照的に、感情をむき出しにした演技でした。

エド・ハリスは、もっと出ててほしいと思う存在感で、流石です。


96分という長さのせいか、
なぜジョーイがトムになろうと思ったのか詳しく描かれていなかったり、
最初、家族関係が把握できなかったり…本当の親子に思えなかったんですよね~…
という部分はあるのですが、感情を抑制した仕上がりの作品でした。