やわらかい手

　「あの胸にもういちど」のマリアンヌ・フェイスフルが、幼い孫を助けたい一心で飛び込んだ未知の世界で新たな人生を見つける初老の女性を演じるハートフル・ドラマ。孫の手術費を稼ぐためそれまで無縁だった性風俗店で働き始めた主人公を巡って繰り広げられるホロ苦くも温かな人間模様をユーモラスなタッチで綴る。共演に「アンダーグラウンド」「美しき運命の傷痕」のミキ・マノイロヴィッチ。監督はＣＭディレクターとして活躍し、本作が長編２作目のサム・ガルバルスキ。
　ロンドン郊外の小さな町。平凡な人生を送ってきたまじめな主婦のマギー。そんな彼女の最愛の孫、オリーは難病に苦しんでいた。そしてある日、６週間以内にオーストラリアで最新の手術を受けなければ助からないとの宣告を受けてしまう。息子夫婦にそのための費用を工面する余力はなく、マギーは自分が何とかしなければと金策に奔走するが、どれも上手くいかない。そんな時、偶然目にした“ホステス募集・高給”の貼り紙に釣られ店を訪れる。ところがそこはセックスショップで、マギーの手を見たオーナーのミキからは、壁の穴越しに手で男をイカせる仕事をあてがわれる。一度は逃げ出したものの、孫のためと覚悟を決めその“仕事”を始めたマギーだったが、意外にもゴッド・ハンドと評判を呼び、たちまち売れっ子になっていく。(allcinema)

この穴から幸せが見える。


2007年　ベルギー／ルクセンブルク／イギリス／ドイツ／フランス製作作品
原題：IRINA PALM

監督： サム・ガルバルスキ
脚本： フィリップ・ブラスバン マーティン・ヘロン
音楽： ギンズ
出演： マリアンヌ・フェイスフル マギー
　　　　ミキ・マノイロヴィッチ ミキ
　　　　ケヴィン・ビショップ トム
　　　　シヴォーン・ヒューレット サラ
　　　　ドルカ・グリルシュ ルイーザ

TUTAYAさんにリストインしていて、ようやく届いた作品です。

ブロ友さんのところで紹介されていたので、ある程度の内容は知っていましたけど、
う～ん。
これはなかなか深い内容でした。

オーストラリアでしか治療できない、という難病の孫・オリーを救うために、
おばあちゃん・マギーは、お金を工面するために奔走します。
銀行でも貸してはくれず、仕事も紹介してもらえず、
困ったときに出合った「接客係募集　高給」という張り紙にふらふらと…。

ただオリーを救いたい。
その思いだけでマギーは風俗の道を選びました。
…というか、そこしか働くところがなかったのです。

どんな仕事だったかは、映画をご覧になっていただくことにして…(^^ゞ

そんなマギーの必死な思いをよそに、
息子…オリーの父親も友人たちも、決してその思いを理解しようとはしませんでした。

元々はオリーのためにお金を用意したかっただけでした。
でも、そこで自分を必要としてくれる人がいて、
マギーは生きる喜びを感じたんだと思いました。

大金を用意しても、ありがとうさえ言わない息子。
悪事を働いたんじゃないかと思うなんて、ちょっとあんまりかなと。

それでも、嫁姑のぎくしゃくした関係だった息子の嫁、サラと
分かり合えるようになったシーンでは感動で涙が…。

女同士だから、母親だからこそ分かり合えた…。
そんな瞬間でした。

難病を抱えたオリーを通して親子の関係を見直すドラマであり、
また、世間から取り残された初老の女性が、人生を見直すドラマでもあります。

マギーが生きる場所を得て、
うわべだけでつき合っていた友人との決別には、胸がすーっとしました。

そうそう、前を向いて生きて行こうよ。

マギーを応援したくなりました。