ダウト ~あるカトリック学校で~

イメージ 1 劇作家ジョン・パトリック・シャンリィが9.11の衝撃とその余波が大きな影となって人々の心を覆ってしまった世情を背景に書き上げ、2005年のトニー賞ピュリッツァー賞をダブルで受賞した名作戯曲『ダウト 疑いをめぐる寓話』を、シャンリィ自らメガフォンをとり、実力派俳優陣の豪華競演で映画化した心理ドラマ。60年代のカトリック学校を舞台に、少年に対する性的虐待の疑いを掛けられた進歩的な男性聖職者と、心証のみで彼を執拗なまでに追いつめていく厳格な女性校長の息詰まる言葉の攻防がスリリングに展開していく。主演は「プラダを着た悪魔」のメリル・ストリープと「カポーティ」のフィリップ・シーモア・ホフマン、共演にエイミー・アダムスヴィオラ・デイヴィス
 前年のケネディ大統領の暗殺や公民権運動の高まりなど激動と変革の真っ只中にある1964年。ニューヨークのブロンクスにあるカトリック学校でも、厳格な校長シスター・アロイシアスに対し、進歩的で生徒の人望も篤いフリン神父はより開かれた校風にしていくべきとの持論を展開していた。そんなある日、新人教師のシスター・ジェイムズは学校で唯一の黒人生徒ドナルドを呼び出したフリン神父の不可解な行動に不審を抱きシスター・アロイシアスに相談する。シスター・アロイシアスは2人が“不適切な関係”にあるのではと疑い、フリン神父を厳しく問い詰める。一方シスター・ジェイムズのほうはきっぱりと否定したフリン神父の説明に納得し、反対になおも頑迷にフリン神父への疑惑を深めていくシスター・アロイシアスの態度にこそ違和感を覚え始めるが…。(allcinema)


神聖なはずのカトリック学校で、何が起こったのか?
トニー賞ピュリッツァー賞W受賞の舞台劇、衝撃の映画化。

2008年 アメリカ製作作品
原題:DOUBT

監督: ジョン・パトリック・シャンリー
原作戯曲: ジョン・パトリック・シャンリー 『ダウト 疑いをめぐる寓話』
脚本: ジョン・パトリック・シャンリー
音楽: ハワード・ショア
出演: メリル・ストリープ シスター・アロイシアス
    フィリップ・シーモア・ホフマン フリン神父
    エイミー・アダムス シスター・ジェイムズ
    ヴィオラ・デイヴィス ミラー夫人
     アリス・ドラモンド
     オードリー・ニーナン
    スーザン・ブロンマート
    キャリー・プレストン



ブロ友さんの映画レビューで紹介されていて、気になっていた作品。

メリル・ストリープは凄い女優だ!
とにかく彼女の演技で、この内容が活きたといっても過言ではないでしょう。
そのくらい戒律に厳しいシスターを、
本当に嫌味なくらい厳格なシスターを演じているからこそ、
“疑惑”という不釣り合いなテーマに深さを感じました。


カトリックの学校の校長・シスター・アロイシアスは、
学校に通う生徒のことも、一緒に暮らすシスターのことも、
細心の注意を払って見守っています。

それはときに、時代の変化にあらがっているようも見えました。


その教会のフリン神父は、校長とは反対に、
新しい時代の風に乗るべきだと考えています。

このフリン神父に、ある疑惑が持ち上がり、
その疑惑をめぐって物語は進んで行きます。


目が見えにくくなった老シスターを何度も助けるシーンがあり、
シスター・アロイシアスの厳しさは、
優しさの上に成り立っていると分かります。

…が、それでも厳しい。

今日甘えれば、明日後悔する。
正確ではないですが、そんな言葉には自分を顧みてしまいました(^^ゞ



人を見抜く力を持っている、と言い切るシスター・アロイシアスは、
若いシスター・ジェイムズから受けた相談から、
フリン神父への疑惑が湧きあがって行くのですが、
それが確信へと繋がっていくまでの物語です。


若いシスター・ジェイムズが、
何度も、シスター・アロイシアスからお小言を言われながら
物語に関わる姿が微笑ましいです。


音楽も各場面を盛り上げていて印象的でした。



フリン神父を演じるのがフィリップ・シーモア・ホフマンですから、
何となく怪しい感じを受けてしまったので、
実はシスター・アロイシアスの思い込みだった、
なんて結末も想像したりもしながら…。


それでも、最後に嗚咽を漏らすシスター・アロイシアスに、
真実と正義はイコールではないと感じました。

メリル・ストリープ、渾身の涙でした。