向日葵の咲かない夏

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読み逃がすな! 新たな神話が、ここにある。
最注目作家が描く、もう一つの夏休み。

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

向日葵の咲かない夏 / 道尾秀介
新潮文庫




10月の1冊は【向日葵の咲かない夏】
今回は、知らない作家さんに挑戦しようと、書店を回っていた時

このミステリーがすごい!2009年度」作家別第1位

という帯が目に付きました。


とても読みやすい文章で、あっという間にページをめくってしまいました。

小学4年生のミチオ君が主人公で、
夏休み前の終業式の日から始まります。

たとえ小学生が主人公とはいえ、
行動力も思考力も、それは大人顔負けで、その部分に違和感がないわけではないけど、
子供らしい残酷さや純粋さも感じることはできます。

ミチオ君とその妹ミカ。
同級生のスミダさんやハチオカ。
そして自殺したのはS君。
ネーミングが変わっています。

確かに、S君の自殺か他殺かという謎を解くミステリーものなのですが、
そこに登場するのは、生まれ変わりを描く、
ファンタジーものの様相もうかがわせます。


S君はいじめられっ子で、その所為で自殺したのか。
その死体を隠したのは担任の先生なのか。
百葉箱を覗きにくる泰造老人は、事件を目撃したのか。

前半は、担任の先生がらみで進んで行きます。
先生の特殊な趣味が明らかになったりすると、
これは絶対犯人かも、と思ってしまうのですが…。

後半は、ミチオ君が謎ときを始めて進むのですが、
二転、三転して犯人に、事件の全容にたどり着きます。


そしてそこに“生まれ変わり”がついて回ります。

さて…。
死んだら何に生まれ変わりたいでしょうか…。



ミチオ君にも、複雑な家庭の事情がありました。
その所為で自分の世界に籠るようになってしまったのでしょうか。

本当にそこに生まれ変わりが存在したのか、
それともミチオ君の想像なのか、
ミチオ君しか分からないのです。


でも、決しておとぎ話のようではなく、
しっかりしたミステリーであることは間違いありません。


今月はもう一冊挑戦しようかな♪