さまよう刃

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 東野圭吾の衝撃の問題作を「半落ち」「博士の愛した数式」の寺尾聰主演で映画化したサスペンス・ドラマ。しばしば議論の的となる少年犯罪と少年法の是非を真正面から見据え、少年たちによって無惨に殺された愛娘の復讐に走る父親の苦悩と、それを追う2人の刑事の心の葛藤を描く。共演に竹野内豊伊東四朗
 ある日、長峰重樹の中学生になる娘・絵摩が、未成年の少年グループに理不尽に凌辱された末、荒川の河川敷で無惨な死体となって発見される。妻を亡くし、娘の成長だけを楽しみに生きてきた長峰は絶望に打ちのめされてしまう。そんな長峰のもとに、犯人が菅野と伴崎であるとの匿名の密告電話が入る。知らされた伴崎のアパートに向かった長峰は、そこで犯行の一部始終を収めたビデオテープを発見する。激しい怒りに駆られた長峰は、やがて帰宅した伴崎を刃物で刺殺してしまう。その後、長峰から伴崎殺害を自供する手紙を受け取った捜査本部の織部と真野は、手紙に綴られた少年法に対する無力感に複雑な思いを抱きながらも、さらなる凶行を食い止めるべく、長峰の行方を追うのだったが…。(allcinema)


監督: 益子昌一
原作: 東野圭吾さまよう刃』(角川書店刊)
脚本: 益子昌一
音楽: 川井憲次
音響効果: 西村洋一
出演: 寺尾聰 長峰重樹
    竹野内豊 織部孝史
    伊東四朗 真野信一
    長谷川初範 島田
    木下ほうか 伊藤
    池内万作 田中
    中村有志
    岡田亮輔 菅野カイジ
    黒田耕平 伴崎アツヤ
    佐藤貴広 中井誠
    酒井美紀 木島和佳子
    山谷初男 木島隆明




ポイントが貯まっていて、ただで観るのは何にしようかと、
ずいぶん悩んで選んだ作品です。


東野圭吾氏は好きな作家さんでよく手にします。
人物の心理描写がとても丁寧なのと、
被害者、加害者、そして警官と、
登場するどの人物の立場にも、偏らずに描かれていることろが好きな理由ですが、
今作もその部分は良く描かれていたと思います。


被害者から加害者になった長峰の、悲しみと怒り。
刑事という立場であっても、心が揺れ続ける織部
刑事としての信念を持ち続ける真野。


それぞれの言い分があるのです。

たった一人の家族である最愛の娘を、凌辱されて殺された。
「我が国の法律では未成年者に極刑は望めない」

未成年の加害者に、更正のチャンスを与える少年法
「俺たち警察は、市民を守っているわけじゃない」

登場人物の葛藤が、伝わってきます。


長峰の取った行動の真意を知ると、
決して暴力で解決しようとしていたわけではないと分かるのですが、
それでも、少年法に理不尽さを感じるのです。


苦しく重いテーマです。


無機質な若者たち。
自分自身にすら関心がないのかもしれない。
少年法とともに、こんな若者たちの未来を案じてしまいました。



作品自体は、ゆっくり進んでいくので、多少じれったさを感じます。
登場人物の、もう一歩を描ききれない気がするので、
やはり原作を読まなくては、と思いました。