さまよう刃

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正義とは何か。
犯罪被害者の叫びを聞け。
遺族による復讐を描いた社会派サスペンス。

長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躙された末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察とマスコミが追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える――。重く哀しいテーマに挑んだ、心揺さぶる傑作長編。


さまよう刃/東野圭吾
角川文庫



12月の1冊です。

映画を先に観て、原作を読みたくなった作品です。

これは、映画より原作ですね。
細かい心理描写がより鮮明に伝わってきます。

未成年の犯罪、少年法を取り上げた内容に留まらず、
そこにマスコミが絡んでいる、というところが映画で描かれなかった部分で、
マスコミの裏側も見られる深さもありました。


東野氏の作品は、とても重いテーマを取り上げていることが多いのですが
文体や表現が重くならないのが、読みやすさだといつも思います。
一気に読み終えて、そして心の奥で感じる…。


最愛の娘を殺された父親の想い。
息子を亡くしたペンションの女主人の、長峰への想い。
殺人犯だと信じたくない、子供を思う親の姿。
そして事件を追う刑事たちの姿。


最愛の人を殺されたら、相手も同じように殺したい…。

遺族の復讐と、少年の更生を、
いろいろな人たちが、その立場で言葉に、行動にしていきます。


誰にも正義があり、誰にも真実があり…。


普段は声高に語らないことを、改めて考えさせられる作品です。