ミルコのひかり

イメージ 1
輝ける青春」を手掛けるなどイタリア映画界の第一線で活躍するサウンドデザイナー、ミルコ・メンカッチの実体験を基に描く感動ストーリー。不慮の事故で失明し、心を閉ざしてしまった少年が、一台のテープレコーダーとの出会いによって新しい世界への扉を開き、自由と希望を獲得していく姿をドラマティックに綴る。監督はこれが長編4作目となるクリスティアーノ・ボルトーネ。
 1971年、イタリア・トスカーナ。10歳になるミルコは、ある日自宅にあった銃をいじっていて誤って暴発させてしまう。一命はとりとめたものの、両目の視力を失ったミルコ。当時のイタリアでは、視覚障害者は特殊学校へ入ることが強制させており、ミルコも全寮制の盲学校へ送られる。周囲に心を閉ざすミルコだったが、ある時古いテープレコーダーを偶然見つけると、それでいろいろな音を録音してつなぎ合わせ、音だけで物語を作ることに楽しみを見出すのだった。しかし、規律を重んじる校長によって、一度はテープレコーダーを取り上げてしまうが、彼の才能に気付いたジュリオ神父は、校長に内緒で別のテープレコーダーをミルコに与えるのだった。やがてテープレコーダーを使った“遊び”は、他のクラスメイトたちにも広がり、抑圧されていた彼らの心に夢や希望の光をともし始めるのだったが…。(allcinema)


明日を信じる勇気。

2005年 イタリア
原題:ROSSO COME IL CIELO

監督: クリスティアーノ・ボルトーネ
脚本: クリスティアーノ・ボルトーネ パオロ・サッサネッリ モニカ・ザペッリ
音楽: エツィオ・ボッソ
出演: ルカ・カプリオッティ ミルコ
    シモーネ・グッリー フェリーチェ
    アンドレア・グッソーニ ヴァレリオ
    アレサンドロ・フィオーリ マリオ
    ミケーレ・イオリオ ジャコモ
    フランチェスコ・カンポバッソ ダヴィ
    フランチェスカ・マトゥランツァ フランチェスカ
    パオロ・サッサネッリ ジュリオ神父
    マルコ・コッチ エットレ
    シモーネ・コロンバリ ミルコの父 アッキーレ
    ロッサーナ・ジェンティーリ ミルコの母 テレサ




何かを観た時に知った作品だったんだけど、“何か”を思いだせない(^^ゞ

映画が大好きなミルコ少年は、
両親の愛情をいっぱいに受けて育っていました。
家族は決して豊かではなかったけど、
穏やかで暖かい日々でした。

そんなミルコは、いたずらしようとして扱った銃が暴発。
目が見えなくなってしまうと医師から宣言され、
その上、法律だからと、全寮制の盲学校に入れるように言い渡されました。

そういう法律があったことは驚きです。

1970年代始めのイタリアが舞台。
社会情勢が良く分からないんですが、
どうも、自由解放運動みたいなものが起こっていたような感じです。


頑なに学校の伝統を守ろうとする校長。
目が見えない人間は、手に職をつけることが社会で生きる術だと信じています。
そのために、厳しい校則で生徒たちを縛ることが
自分の役目だと信じて疑わないのです。


そうでないと生きて来られなかった、という現実もあったのでしょう。
決して校長を責めることはできないと思いました。
他人から身を潜め、決して目立たず…。


でも、時代が変わっていくことも事実で、
目が見えない人間ばかりを集めて閉鎖的に暮らす時代から、
目が見える人間と一緒に暮らすことを認められる時代への
ちょうど過渡期にミルコが子供時代を過ごしたようです。


まったく見えないわけではなく、ほんの少し、ぼんやりと見える。
それでも「僕は見える」と言うシーンは、強がりのように思えたけど、
今まで見えていたものから想像する力を、失ってはいなかったのかもしれません。


映画好きなミルコが、点字を習うより自分なりに自然を研究する。

テープレコーダーに録音された音からは、
風も雨も、夏の暑さも感じられました。

目が見えなくなったことで、ミルコの聴覚や想像力が増したようでした。


…ここでミルコの作った音に、BGMが重なったことがとても残念…!


お決まりのコースを辿っていくのですけど、
ミルコを理解してくれたジュリオ神父、
管理人の娘フランチェスカの行動力、
それらがミルコを救い、そしてイタリアをも救ったのです。

学芸会がひとつに見せ場になりますが、
事実がベースなだけに、サプライズもありません。

それでもそういう結末には感動を覚えました。


ミルコが故郷へ戻り、以前同様鬼ごっことをするシーンは、
目が見えないことも、健常者であることも
生きていく上では境界線にはならないんだと、
してはいけないんだと感じさせてくれました。


派手さはないけど、安心して感動できる作品です。