キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~

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 50年代から60年代に活動し、のちの音楽シーンに多大な影響を与えたシカゴの伝説的ブルース・レーベル“チェス・レコード”の盛衰を描く実録アメリ音楽史ドラマ。ポーランド系移民のユダヤ人レナード・チェスが、当時はまだレイス・ミュージックと呼ばれ差別されていた黒人音楽に目を付け、商才を発揮して彼らを音楽シーンのメインストリームへと押し上げていくさまを、マディ・ウォーターズチャック・ベリー、エタ・ジェイムズら所属アーティストたちとの交流を軸に描き出す。主演は「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディ、共演にジェフリー・ライトモス・デフビヨンセ・ノウルズ。劇中を彩る名曲の数々は、実際にキャスト自らが披露している。
 1947年、シカゴ。ポーランド系移民の若き野心家レナード・チェスの経営するクラブでは黒人ミュージシャンたちがライブ演奏を行っていた。その中の一人、ギタリストのマディ・ウォーターズは陽気なハーモニカ奏者リトル・ウォルターと組んだ新しいバンド・スタイルで評判を呼んでいた。チェスはさっそくマディにレコーディングの話を持ちかける。やがて彼らの歌声は人種の壁を突き崩し、ついにラジオからも流れ始める。その後も、チャック・ベリーやエタ・ジェイムズら所属アーティストがヒットを飛ばし、その度にチェスは彼らに成功の証としてキャデラックをプレゼントするのだった。(allcinema)
 
 
2008年 アメリ
原題:CADILLAC RECORDS
 
 
時代は変わっても、
僕らの愛と友情は
ブルースに生き続ける
 
 
監督: ダーネル・マーティン 
脚本: ダーネル・マーティン 
音楽: テレンス・ブランチャード 
音楽プロデューサー: スティーヴ・ジョーダン 
音楽監修: ベス・エイミー・ローゼンブラット 
出演: エイドリアン・ブロディ レナード・チェス
    ジェフリー・ライト マディ・ウォーターズ
    ビヨンセ・ノウルズ エタ・ジェイムズ
    コロンバス・ショート リトル・ウォルター
    モス・デフ チャック・ベリー
    エマニュエル・シュリーキー レベッタ・チェス
    セドリック・ジ・エンターテイナー ウィリー・ディクソン
    ガブリエル・ユニオン ジェニーヴァ・ウェイド
    イーモン・ウォーカー ハウリン・ウルフ
    タミー・ブランチャード ノーマン・リーダス シャイロー・フェルナンデス  
 
音楽を題材にした映画は好きです。
クラシックでもポピュラーでも。
 
今回の作品は、50年代から60年代のアメリカのブルースの歴史物です。
 
黒人への差別が存在した時代。
公共の場所で“white only”と書かれいたり、
ミュージックホールでは白人、黒人がロープで仕切られていたり、
単一民族である私たち日本人には、あまりなじみのない光景ですが、
アメリカの歴史には、そういう時代がしっかりと刻まれているのです。
 
そういう時代。
ポーランドからの移民だったレナードには偏見がなかった。
そういう人がいたから、ブルースが一般化したんだと思えば、
彼の功績は素晴らしいです。
 
成功の証として、キャデラックをプレゼントするという方法が
良かったかどうかは別として…。
 
貧しくて、音楽だけしかなかった人間が、
儲けることで気持ちに変化が起きてしまう。
ずっとハングリー精神を持ち続けることって難しいかも…。
 
でも、キャデラックに一度乗ってしまえば、
もう離れることはできないかな…。
そんな哀しさも感じました。
 
黒人の悲しい歴史から生まれた音楽。
“魂”を揺さぶられる歴史です。
 
 
個人的には、ビヨンセ演じるエタ・ジェイムスに関するシーンが良かったです。
出生のことや、彼女が歌う「I’d rather be blind」。
ビヨンセの巧さだけど、好きな男への届かない想いが切なくて、
心に沁みたし、鳥肌が立ちました。
 
レナードは、立ち上げた自身のレーベル会社を手放すことになっても、
世界に広まったブルースは、消えることはない。
途方もない黒人パワーを感じさせてくれます。
 
 
ブルースに詳しくなくても、充分に楽しめる作品です。